ノルレボの効果
ノルレボは第2世代の避妊薬で有効成分が「レボノルゲストレル」です。ノルレボの効果は、「受精卵を作らせない」「受精卵を子宮内膜で着床させない」この二つの働きによって妊娠回避を行います。
72時間以内に1.5mg/1錠を服用します。最後の性行為後(又はリスク行為後で表記)から服用するまでの時間が短ければ短い程ノルレボの効果を発揮し、避妊率も上がります。
排卵の抑制をする
ノルレボの有効成分である黄体ホルモンの作用により、排卵を抑制します。
これにより、排卵日付近の性行為で避妊が出来なかった場合でも、受精卵を作らせないように作用します。
ノルレボを適切に使用することで排卵日・排卵日前後であっても妊娠回避の成功率が変わることはありません。
子宮内膜の増殖を防ぐ
ノルレボのもう一つの効果である「受精卵を子宮内膜で着床させないこと」です。
性行為後に受精卵となってしまった場合でも、ノルレボの有効成分である黄体ホルモンの作用によって、子宮内膜を増殖を防ぐ働きと、体温の上昇を防ぐ働きによって、子宮内膜での着床を防ぎ妊娠を回避することができます。
しかし、よく勘違いをされやすいのですが、ノルレボは性行為の度に使うものではなく、あくまでも性行為時のトラブルが起こった時に使用するお薬であることを認識、理解をしましょう。ノルレボの効果リミットは72時間です。避妊率効果も性行為後から服用するまでの経過時間が長くなれば、避妊率もどんどんと低下します。
ノルレボの特徴
レボノルゲストレルが最初に作られたのは1960年代で、1980年代に避妊薬として使用開始されました。
1999年にフランスで"NorLevo" としてフランスで正式に商品化され、以降、各国で正式に承認されました。
日本では、大手製薬会社あすか製薬が、5月23日に国内初の緊急避妊薬「ノルレボ錠0.75mg」(一般名:レボノルゲストレル(合成黄体ホルモン))を24日から発売すると発表しました。現在は、錠1.5mgの内容量での製造です。
処方してもらうには、医師の診察が必要です。保険適用外ですので、自費負担となります。
ノルレボの用法・用量
「性交後72時間以内に1回1.5mg経口投与」
ノルレボの服用は、最後の性行為後から早ければ早いほど高い避妊率が見込まれます。
反対に、性行為後から時間が経過すればした分だけ、避妊率も低下します。
ノルレボの注意事項
緊急避妊薬は高い避妊率を期待できますが100%ではありません。
服用後の避妊の確認には十分にお気を付けください。
本剤投与後に、不正性器出血や妊娠初期の出血を月経と区別できない場合もあることから、月経周期を考慮し、適切な時期に再来院して指導を行ってください。
又は、妊娠検査薬でご確認をようにお願い致します。
ノルレボを服用してはいけない人
・疾患肝機能異常、心疾患、腎疾患及びその既往歴の有無を確認することが必要です
・妊娠中は禁止です。妊娠していないことを十分に確認したうえで使用する必要があります。乳汁中に移行します。服用後24時間は授乳を避けましょう。その後は問題ありません
・前兆を伴う片頭痛をお持ちの方
・高血圧の方(140/90以上)
・35才以上で、1日タバコを15本以上吸う方
・低用量ピル・女性ホルモン剤でアレルギーを経験したことがある
・乳がん・子宮がん、その他のがんと診断された事がある
・手術前4週間以内、または手術後2週間以内の方
・産後4週間以内、もしくは長期安静状態の方
・激しい頭痛や片頭痛があったり、目がかすむことがある
・妊娠中に黄疸、持続的なかゆみ、ヘルペスにかかったことがある
・血圧が高いと言われたことがある
・脂質代謝異常(高脂血症)コレステロール、中性脂肪が高いと言われたことがある
・喘息と診断されたことがある
・次に該当する病気にかかったことがある
血栓性静脈炎 肺塞栓症 脳血管障害 冠動脈疾患
心臓病 腎臓病 糖尿病 耳硬化症 潰瘍性大腸炎
うつ病 てんかん ポルフィリン
リン脂質体症候群などの自己免疫性疾患
併用注意薬
・ピルの効果を減弱させる薬剤
抗生物質(テトラサイクリン系・ペニシリン系)
・抗てんかん薬(バルビツール酸系・ヒダントイン系)
精神刺激薬(モダフィニル)
抗結核薬(リファンピシン、リファブチン)
抗HIV薬(非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬・HIVプロテアーゼ阻害薬)
・ピルの効果を増強させる薬
解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
抗真菌薬(フルコナゾール・ボリコナゾール)
・ピルによって効果が減弱する薬
血糖降下薬
モルヒネ
解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)
・ピルによって効果が増強する薬
副腎皮質ステロイド
三環系うつ剤
免疫抑制剤(シクロスポリン)
服用時の注意点
嘔吐
服用後2時間以内に嘔吐してしまったら、同量を再服用してください
連続使用
服用すると一時的にホルモンバランスが大きく乱れますので、連続使用はできません。 アフターピルを事後に処方してもらえば大丈夫と安易に避妊しないで性行為をすることは絶対にしないでください。短期間の連続使用をすると避妊効果が得られない場合があります。
アルコール
アフターピル服用前後の注意点として、飲酒は控えてください。アルコールを摂取した場合、強い副作用が現れる可能性があり、成分が余分に排出され、避妊の効果を得られなくなる可能性があります。
喫煙者
喫煙者の方、特に35歳以上で1日15本以上喫煙される方はアフターピルを服用することで、静脈血栓症、肺塞栓症、心筋梗塞、脳卒中などのリスクを引き起こしやすくなる事があります。
ノルレボの副作用
精神神経系:
頭痛 傾眠体位性めまい 浮動性めまい 不安
生殖器:
消退出血 不正子宮出血 月経過多 月経遅
消化器:
悪心 下腹部痛 下痢 腹痛 嘔吐
血液:
貧血
その他:
倦怠感 異常感 口渇 熱感 疲労 末梢性浮腫 乳房圧痛
ノルレボの作用機序
ノルレボを使用した場合の薬理作用としては、
①視床下部へのnegative-feedback作用(対象のホルモンの作用を不活性化し抑制すること)によるLH(黄体形成ホルモン)分泌の抑制
②子宮内膜に対する作用
③子宮頸管粘液の性状を変化させる
といった上記3点が挙げられます。
このうち、①については、排卵前に投与した場合は、LHサージ(排卵前に卵胞を育てるためのホルモンが一時的に多量に分泌されること)を抑制し、排卵が抑制されること。排卵が抑制された卵胞は、
a.退縮する
b.黄体化非破裂卵胞となる
c.予定日より遅延して排卵が生じる
d.排卵、黄体化せずに月経が生じる時期まで卵胞が発育し続ける
a~dのいずれかの経過を辿ると考えられます。
一方、排卵時期から排卵直後に投与された場合は、LH(黄体形成ホルモン)の分泌低下が起こり、黄体形成が不十分となり、黄体機能不全、その結果としてのプロゲステロンの分泌が低下します。
②については、排卵後のプロゲステロンの上昇より前に緊急避妊薬を服用した場合は、子宮内膜が多量の黄体ホルモン剤の影響により、より早期に分泌期内膜に変化し、着床障害が生じると考えられます。
ホルモン剤を使用しない自然周期では、プロゲステロンの働きで、胚がもっとも着床しやすい胚受容期”着床ウインドウ(implantation window)”(意味:胚着床は妊娠において最初に起こる重要な現象であり、その成立には 胚と子宮内膜との母子間相互作用が必要不可欠です。 子宮内膜は妊娠初期の限られた期間でのみ胚に対する受容能を獲得します。)が排卵後5~7日に現れるといわれています。
多量の黄体ホルモン剤を服用しますと、このimplantation windowが早期に出現し、胚の子宮内膜への到達時期の子宮内膜の胚受容能の不一致により、着床が疎外される可能性が出てきます。
また③については、特に黄体ホルモン剤には子宮頸管粘液の粘稠度を変化させる働きがありますが、緊急避妊薬は性交後に服用するものであることから、よほど早期に服用しない限りはこの薬理作用は影響しないと考えられます。
ノルレボの作用時間
ノルレボは服用して2~3時間後に血中濃度が高まり薬の効果が現れ始めます。
ノルレボを服用して2時間以内に、嘔吐してしまった場合成分を十分に吸収できておらず失敗してしまう可能性があります。
その際は必ず、同量を再服用してください。
およそ5日間~7日間はアフターピルの効果が続くといわれています。
ノルレボのジェネリック
日本はモーニングアフターピルの取り扱いに関して、諸外国と比べ大変遅れているという現状がありますが、富士製薬工場が、2019年2月12日に製造販売承認を取得。
同年3月19日より国内初のノルレボのジェネリック薬『レボノルゲストレル錠』が発売となりました。
よくある質問
Q.アフターピルはいつどのように使用すればいいですか?
A.避妊具を使用せずに性行為を行った、コンドームが外れた、破けてしまっていた、その他の避妊具の不適切な装着、破損、脱落などで望まない妊娠への不安な時、性行為から72時間以内(行為後から服用の時間が早ければ早いほど避妊率効果は高くなります。)に1回1錠を水、又はぬるま湯などで服用することで、避妊効果が見込めます。
Q.服用したが吐き気を起こし嘔吐してしまった場合はどうすればいいですか?
A.服用して2時間以内に嘔吐してしまった場合には、成分を十分に吸収できておらず失敗してしまう場合があります。その際は必ず、同量を再服用しましょう。
Q.未成年者への処方もできますか?
A.当院は未成年者への診療、処方はお断りしております。
Q.避妊の確認はどのようにすればいいですか?
A.3週間以内に生理が来ることが目安とされています。
しかし、アフターピルの副作用に月経周期の乱れや月経と関係のない出血があります。
月経が予定通りの日に来ないということや、少し早めに来たということがあります。
月経と関係のない出血、これは『不正出血』です。月経の出血と勘違いしてしまい月経が2度きたと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、経血がドロッとしていればそれが月経が来たということになり、サラッとした経血でしたら不正出血であり、生理ではない出血という可能性が高いです。
3週間後を目安として、妊娠検査薬のご使用をお薦めします。
Q.保険は使えますか?
A.アフターピル処方で保険の適用はできません。
Q.消退出血が起こる前に性行為で避妊に失敗しました。2回目のアフターピルにも効果はありますか?
A.効果がないわけではありませんが、1回目のような効果までは見込めないと思います。
その後、消退出血、月経の出血確認が取れれば、2回目の性行為まで妊娠回避が出来たと、考えて宜しいかと思われます。