脱毛症の種類
【AGA/円形/壮年性/びまん性/休止期/抜毛癖/分娩後/牽引性/脂漏性】

薄毛になる原因はAGA(男性型脱毛症)だけではありません。

・円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)
・壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょう)
・びまん性脱毛症(びまんせいだつもうしょう)
・休止期脱毛症(きゅうしきだつもうしょう)
・トリコチロマニア(抜毛癖)
・分娩後脱毛症(ぶんべんごだつもうしょう)
・牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)
・脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)

主にこの8種類が脱毛症となります。
脱毛症によっては、その原因や性別によって起こりやすい場合などがあります。

円形脱毛症(えんけいだつもうしょう)

傾向と症状

世界の1%~2%の人口がこの円形脱毛症に悩まされていると推測されています。

2022年7月11日「世界人口day」で発表された世界の人口は2022年11月15日に80億人に達すると言われているので実に8,000万人~1億6,000万に匹敵します。
そのうちの約70%が30歳以下、特に15歳以下の子供がなんと約25%ほどを占めていることから円形脱毛症は、若年層に多くみられる傾向があるようです。

日本では「10円はげ」の呼び名でよく知られています。
髪の毛を作る「毛包」が炎症により破壊されることで脱毛します。

円形脱毛症は髪の毛のイメージがありますが、体毛にも発症します。
円形脱毛症は、何度も繰り返されることから治療が困難とされています。

特徴

円形脱毛症は症状が進行すると、脱毛斑が広がる、もしくは複数の脱毛斑ができるなどの症状があらわれるのが特徴です。

〇円形脱毛症のパターン 脱毛の症状

単発型 脱毛症箇所が1ヵ所だけできる
多発型 2か所以上の脱毛斑ができる
蛇行型 後頭部・側頭部・おでこなどの生え際が帯状に脱毛する
全頭型 頭部のすべての髪の毛が脱毛する
汎発型 まつ毛や眉毛などの体毛まで脱毛する

〇重症度別

  • 抜けた髪の毛根が尖っている
  • 脱毛周囲の髪を軽く引っ張るだけでも抜け、痛みもない
  • 脱毛箇所とそうでない箇所の境界線がはっきりしている

円形脱毛症の主な症状は、突発的に症状が現れることなどから実際になられる方は驚かれます。

では脱毛パターンを5つの症状レベル分けてご説明していきましょう。

『症状レベル1』単発型:脱毛部が1ヶ所

円形脱毛症の中で一番発現率の高い症状です。
円形の大きさはさまざまで、10円玉サイズから500円玉以上に大きくなられる方もいます。

『症状レベル2』多発型:脱毛部が2ヶ所以上

単発型が変化し、脱毛斑が2つ以上みられるタイプです。

かるい痒みを感じることもあるので、円形脱毛症の前兆があるのが多発型の特徴とも言えます。

また単発型にくらべ治療期間の目安は長く、6ヶ月~2年ほどかかるとされています。

頭部全体の25%未満は軽度となりますが、25%を超えると重度判断となります。

『症状レベル3』蛇行型:脱毛部が2ヶ所以上

後頭部・側頭部・おでこなどの生え際が帯状に脱毛します。

円形脱毛症の中でも重い症状に分けられ、治療期間が数年かかる場合が想定されます。

『症状レベル4』全頭型:頭部のすべての髪の毛が脱毛する

脱毛範囲が頭部全体に広がってしまい、頭髪のほぼすべてが抜けてしまう円形脱毛症です。

アトピー性皮膚炎と合併している可能性が高いとみられます。
確立された治療方法が未だないため、長期間の治療を余儀なく選択されます。

外見の大きな変化で、憂鬱、喪失感、ストレスを強く感じ、精神的な影響が懸念されます。

『症状レベル5』汎発型:まつげ・まゆげ・腋毛などすべての体毛の脱毛

「汎発」とは、全身や、至るところに発生するという意味。

汎発型の治療法が確立されておらず、自然回復を待つことが大変難しく、治療が必要になります。
治療中思ったような改善を得られない場合、他の治療方法を試すことや、精神的にかかる負担を
軽減、QOL(生活の質)を維持するためにウィッグの装着などを検討しましょう。

原因

円形脱毛症に限らずAGAを含めた脱毛症の原因はストレスと思われたりことありませんか?

ストレスは原因の一つとして考えられますが、根本的な原因になることは証明されていません。

また、主な原因で脱毛症が生じると考えられている項目は

  • 睡眠不足
  • 胃腸炎
  • ケガ
  • 風邪
  • 過度な疲労
  • 出産

円形脱毛症は、一部のリンパ球が毛包の組織を壊そうとする自己免疫反応が生じて、
その影響から毛が抜けてしまう病気です。

本来リンパ球は、細菌やウイルスなどの外敵から身体を守るための細胞です。

ストレスをはじめとする身体への負荷が、円形脱毛症が生じるきっかけだと考えられていますが、リンパ球が本来の攻撃対象ではない正常な細胞を攻撃してしまうかは、未だ解明されていません。

改善法

対策1:患部を隠す

脱毛された部分は症状が緩和・完治するまで、目視でわかりやすいため、
なかには人目が気になってしまい、外出されにくいことで塞ぎ込んでしまうケースがあります。

患部を一時期的に隠すことで、これまでと変わらず人前に出ることができます。

対策2:ファッションアイテム(帽子・バンダナetc)の使用

外出先で人目が気になる時は、ヘッドアイテムをファッションとして使って上手に隠しましょう。

しかし、ヘッドアイテムはTPOによっては失礼に当たる場合がありますのでご注意ください。

また長時間の着用は、汗や頭部の蒸れに繋がり、患部以外の正常な部位へダメージを与えます。

着用時は以下の項目に気を付けてアイテムを選び使用しましょう。

    【注意点】
  • 適度に外して群れを防止
  • 通気性の高い素材(キャップタイプならメッシュ生地など)
  • ジャストサイズの物よりも少し余裕のあるサイズ感を選ぶ

対策3:スタイリング剤で自分の髪をヘアアレンジ

脱毛症の症状具合によりますが、可能であればスタイリング剤で隠すのが一番手軽です。

女性はポニーテールなど髪をアレンジ、男性はオールバックや普段の分け目を変えてみましょう。

スタイリング剤の利用時はしっかりと帰宅後はお風呂でしっかりと洗い流すことが大切です。

洗い残しや、洗髪せず就寝すると毛穴を塞いでしまったり、カビの原因になり、症状を悪化させてしまう場合がございます。

    【上手な洗髪方法】
  • 爪を立てず指の第一または第二関節までの指の腹部分で優しく洗う
  • 小さなストロークで細かく洗いましょう。
  • 洗い過ぎは必要な皮脂までも洗い流してしまうので2分程を目安
  • 洗髪用アイテムを使って指では届かない毛穴までしっかり洗う

対策4:ウィッグや付け毛で隠す

脱毛症の症状が重度の場合、カツラ(ウィッグ)などを使用しましょう。
脱毛箇所によってはこれまでの帽子やヘアアレンジでは隠しきれません。

症状が緩和するまで外出時周りが気になる方はお試しください。

    【種類】
  • 部分ウィッグ(ヘアピース)
  • 付け毛(エクステーション)

    【注意点】
  • かなりの密着度があります。帽子同様、蒸れにご注意ください
  • 不自然なカツラは反って周りから注目されます
  • 密着度が高く、皮膚呼吸が浅く、汗をかきやすくなっているので帰宅後、しっかりと洗髪しましょう。

対策5:ヘアファンデーションで隠す

ヘアファンデーションは、地肌に色付けをして脱毛箇所に馴染ませて隠す方法です。

脱毛している患部が大きいと悪目立ちしますが、軽症の単発型や軽い多発性であれば、
自然なボリュームアップができます。

雨や風、汗にも強く、長時間ヘアスタイルをキープできるので心配なくご使用できます。

仕事やTPOなどが理由で被り物ができない、ウィッグや付け毛に抵抗がある方はお試しください。

重症度別の対策について

これまでご説明しました、症状レベルごとに、当院が推奨する「対策」を振り分けました。

    【症状別対策】
  • 単発型:対策1・2
  • 多発型:対策1~4
  • 蛇行型:対策3・4
  • 全頭型:対策3
  • 汎発型:対策3

治療法

治療法 概要 治療薬/法
外用薬 ・脱毛している部位に塗り薬を塗布する 
・治療の初期段階で用いられる
・ステロイド
・塩化カルプロニウム
内服薬 ・指定の飲み薬を摂取する 
・治療の初期段階で用いられる
・セファランチン
・グリチルリチン
光線治療 ・脱毛した部位に光をあて、リンパ球の異常を抑制する
・治療の初期段階で用いられる
※長期治療の場合、脱毛範囲に関係なく
早期完治のために施術を用いる場合があります※
局所注射 ・炎症や免疫機能を抑える成分を注射で注入する 
・脱毛範囲が広くない場合に用いられる
・ステロイドを脱毛箇所に注入する方法
局所免疫療法 ・脱毛している部位に化学物質を塗布し、
軽いかぶれを起こさせることで治療する 
・重症の場合に用いられる
・免疫抑制作用を利用して、症状を落ち着かせる方法

壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょう)

傾向と症状

壮年性脱毛症の「壮年」とは壮年期のことで、働き盛りの30~50代の時期でみられる脱毛症です。

壮年性脱毛症は加齢と共に発症率が高くなるため、老化のひとつとして考えられます。
これはAGA(男性型脱毛症)である事を指します。

加齢と共に髪の毛が軟毛かして柔らかくなり、細くなって弱体化した髪の毛が増加して、
全体的なボリュームダウンして頭皮が透けて目立つようになります。

特徴

壮年性脱毛症は6種類の脱毛パターン(レベル)に分けられます。

  • レベル1
    頭部全体のボリュームダウン、額の生え際が後退する
  • レベル2
    額がM字になりはじめる
  • レベル3
    M字がさらに深くなり、頭皮全体の毛量が減る
  • レベル4
    額(生え際)の後退、頭頂部が脱毛してO型で薄毛になる
  • レベル5
    さらに進行し、頭頂部のO型になった薄毛が進行してくっきりと地肌が見える
  • レベル6
    額(生え際)と頭頂部の脱毛箇所が合併して、U字に脱毛。頭髪全体の70%ほどが脱毛した状態

壮年性脱毛症は加齢による脱毛となるため、女性にも発現することは十分に考えられます。

男性と脱毛パターンは異なり、分け目や額(生え際)、頭頂部を中心に全体的に薄毛が広がります。

全体的なボリュームダウンを感じたら壮年性脱毛症と考えた方が良いでしょう。

原因

薄毛を引き起こす原因はさまざまで、男性と女性でも薄毛の原因となる理由も異なります。
では男性と女性の原因の違いについてみていきましょう。

男性の壮年性脱毛症の原因

人間の髪の毛は一定のヘアサイクル(毛周期)によって髪の毛の生え変わりが行われます。
AGAはこのヘアサイクルが、ミニマム化(短周期)になることで引き起こされます。

短周期されたヘアサイクルは、髪の毛がしっかりと成長する前に抜け落ち、休止期に入ります。
休止期は髪の毛は抜け落ちたあと、次の髪の毛が生成されるまで生えてこない時期です。

通常1周期、2年~6年前後の周期が数ヶ月~1、2年で1周期を迎えてしまいます。

1本の髪の毛の生え変わる回数は個人差がありますが、10回前後~40回と言われています。

壮年性脱毛症はこの周期が加齢によってミニマム化されてAGAと発展してしまうということです。

もちろん原因は加齢だけではなく、ストレスや喫煙によるビタミン破壊、生活習慣(QOL)の乱れからも起こり得る原因です。

女性の壮年性脱毛症の原因

女性の主な原因は、ホルモンバランスによるものだと言われています。

しかし、男性同様原因はさまざまで、ストレスや過度なダイエットによる栄養バランスの崩れ、
睡眠不足や季節による血流低下によるものと言われています。

ホルモンのバランスについては、壮年期(30~50歳)あたりから更年期に入ってくると、減少する女性ホルモンより男性ホルモンの働きが強くなることで起こるものと言われています。


「遺伝」については男性も女性も関係することではありますが、遺伝によるAGAの影響の可能性はそれほど大きなものではありません。

そして、今やAGAは治療が出来る時代です。
次の改善法からAGAにならない身体作りをしていきましょう。

改善法

大きな改善策は日常のライフスタイルを見直すことです。

食事

普段の食生活を見直してバランスの良い食材を定期的に摂取していきましょう。
好きなものばかりで栄養が偏ってしまっては髪の毛に栄養が行き届きません。

接種された栄養は本来、血液が生命維持に関わる順番(内臓)で運んでいきます。

毛髪や肌は、生命に直接関わりのない部位なので、栄養素が回る順番が一番最後になります。
ゆえに、栄養不足になると、末端に位置する毛髪にまったく栄養が回ってきません。

現在生えている髪の質が悪化する上、新しい毛髪を形成するエネルギーが不足します。

ストレス

自律神経には昼間や活動しているときに活発になる「交感神経」、
夜間やリラックスしているときに活発になる「副交感神経」の2種類があります。

ストレスはこの自律神経の乱れを引き起こします。
自律神経が乱れることでサラサラの血液をドロドロにしたり、血管硬直になってしまうと、
血液の流れが悪くなり頭皮への循環が遅くなりヘアサイクルのミニマム化などに繋がります。

睡眠

睡眠不足はストレスと同じように自律神経の乱れに繋がります。

睡眠は身体を回復すると伴に肌の生成に働き始めるので、ホルモンにとって睡眠は分泌を行うための最高の時間となります。
ヘアケアをしている方にとっても、睡眠は最も重要な時間です。

また、睡眠時間だけではなく睡眠の『質』も重要となります。
体に合った寝具や睡眠環境(環境温度など)の改善は、睡眠の質向上に繋がります。
リラックス効果のあるアロマなども睡眠向上に効果的です。

治療法

進行型の壮年性脱毛症は自然治癒されることはありません。

これまでご説明のように、壮年性脱毛症は男性型脱毛症となるAGAです。
治療薬を用いた治療が必要不可欠です。

毛髪サイクルの限界数を超えた毛根はどんな治療を行っても生えることはありません。
「もしかして」と感じたらすぐに当院へご相談ください。

毛根が生きている限りAGAを治療薬で治すことが出来ます。

特に女性の方は、男性が飲まれるAGA治療薬をお飲みいただくことは出来ません。

妊婦の方に限っては治療薬(フィンペシア、ザガーロ)に触れる(接触)こともできません。

治療薬の有効成分がおなかの赤ちゃんに悪影響を与える可能性があるからです。
(男子だった場合、男性器や男性機能の発育に障害を起こす可能性があります)

皮膚から有害物質が吸収されることを「経皮毒」と言い、経皮毒の有害性は経口摂取した有害物質よりも高いため注意が必要です。

びまん性脱毛症(びまんせいだつもうしょう)

傾向と症状

近年、脱毛症に悩まれる女性が増加しています。 そのひとつがびまん性脱毛症です。

びまん性の多くは、40代~50代の女性が特に多く見られますが、全世代の女性に起こり得る脱毛症です。

主に、生活習慣と生活環境による原因が多いようです。

びまん性とは、病変が比較的均等に広がっている状態を指し、 脱毛箇所を中心に徐々に脱毛患部が広がっていきます。

特徴

  • 女性に発症しやすい
  • 男性型脱毛症のように患部が完全に脱毛するのではなく、全体的に薄くなりボリュームがなくなる

男性ホルモンの一種DHT(ジヒドテストステロン)が原因で発症するAGA(男性型脱毛症)とは異なり、額が広くなったり、M字に後退した行くのではなく頭頂部の脱毛が多くなります。

要因のひとつとして、女性ホルモンが影響してヘアサイクル(毛周期)の乱れと考えられています。

別名:FAGA(女性男性型脱毛症)と呼ばれています。
FAGAは、Female Androgenetic Alopeciaの略で女性男性型脱毛症の意味。

女性全体の10%が、女性男性型脱毛症(FAGA)に悩んでいると言われています。

毛が細くなり、軟毛化になってくる点は、男性と一緒です。
主に頭頂部の「成長期」が短縮し「休止期」が延長することで、薄毛につながります。

女性は男性と違い、AGA薬すべてが服用・使用できるわけではありません。
含有量によっては禁忌とされています。

その中で、ミノキシジルは女性にとって唯一の脱毛症治療薬と言えます。

FAGAの概念

今まで、男性も女性もひとくくりに“男性型脱毛症(AGA)”という表記が一般的でした。

しかし、近年は“女性の男性型脱毛症”の概念そのものが変化したために、「女性型脱毛症」をFPHL(female pattern hair loss)と表記するようになってきたことです。

ではいままでと、何が異なり“女性型脱毛症”の概念がどのように変わってきたのでしょう。

“女性の男性型脱毛症”は“男性の男性型脱毛症”AGA(androgenetic alopecia)とは脱毛のパターンが異なるとしながらも、原因や症状についてはAGAと区別することなく一括りでの記述のみでした。

つまり“女性の男性型脱毛症”は、「女性が罹患する男性型脱毛症」=「女性男性型脱毛症(FAGA=female androgenetic alopecia)」と位置づけられていると解釈できます。

女性と男性では脱毛箇所は一緒であるものの、脱毛領域の範囲が大きく異なり、頭頂部の比較的広い範囲で頭髪が薄くなるパターンとして観察記述が記されています。

発症時期は、男性の壮年性脱毛症時期に類似して、女性の更年期に多発する傾向にあるようです。

しかし、女性型脱毛症と男性型脱毛症では、似て似つかない、全く別の位置づけとなります。

原因(びまん性脱毛症になる5つの要因)

要因1.ヘアケア

洗髪時、爪を立てたり、強く洗ったりするのはやめましょう。

また、朝と夜に頭を洗う方がいます。
問題ありませんが、洗いすぎやシャンプーのすすぎ残しは頭皮へダメージを与えます。

頭皮の皮脂は、頭皮を守るための重要な役割をもちますが、洗い過ぎは頭皮の必要なまでも洗い流してしまいます。

洗い方やすすぎの時間は人それぞれ体感である程度決まっているため、洗い方が雑だったり、すすぎ時間が短い人は一度見直しましょう。

その他、カラーリング・パーマはもちろんですが、無理なブラッシングなども良くありません。

要因2.ストレス

ストレスによる影響で交感神経が優先的になり、自律神経が乱れて、交感神経ばかりが優先的に働き、血流が悪くなってしまします。

毛髪へ届く栄養は、体内全ての臓器などに行きわたった最後です。
血流が悪くなると、栄養がきちんと行き届きません。

要因3.生活習慣・環境

これは原因1のストレスと同様、自律神経の乱れによる血行不良による原因です。

浅い睡眠、短い睡眠時間、質の悪い睡眠は睡眠時の成長ホルモンの分泌量の低下に繋がります。

運動不足は血行不良はもちろんのこと、ホルモンバランスの崩れにも繋がります。

朝、昼の運動は太陽の紫外線を浴びて、体内でビタミンDが生成されます。

さらに、程度な疲労感から睡眠時間にメラトニンという睡眠を促す物質が分泌されます。

喫煙はビタミン破壊、たばこの有害物質であるニコチンが血管を収縮させ血行不良を起こします。

原因4.ホルモンバランス

単純に加齢はホルモンの分泌量が減少してホルモンバランスが崩れてきます。
特に女性は、更年期に入ってくると徐々に女性ホルモンが低下して男性ホルモンの働きが強くなり女性としてのホルモンバランスが崩れてきます。

男女ともに髪の毛の生成には女性ホルモンが大きく関わってきます。

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)プロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、特にエストロゲンは髪の毛の成長を促すことや髪の毛の生命維持であるハリ、ツヤといった俗にいうキューティクルに大きく関わってきます。

原因5.ダイエット

過度な運動や極度の食事制限などによる激しいダイエットは、十分な栄養を摂取出来ないことで髪の毛まで行き届かないことや、過度な制限によってホルモンバランスが大きく崩れます。

栄養不足は老化の発展や薄毛の原因となるため、ダイエットを行う際は、十分な知識と食事運動のスケジュール管理などをしっかりと行いましょう。

改善法

特にはっきりとした改善策などはなくこれまでにご説明して参りました生活習慣(QOL)や生活環境とヘアケアをしっかりと見直し、該当される方は、きちんと正すということです。

治療法

薄毛の治療は、ミノキシジル含有の治療薬(内服・外用薬)です。
男性と女性では服用出来る成分量が異なります。

女性は男性と比べて、含有量は2.5mg以内とされています。

発毛を実感できた男性の半数以上が6ヶ月以上の継続をされた方です。

それに対し女性は、含有量が少ないため、効果が出にくいことで継続が困難な方などもいらっしゃいますが、AGAなど薄毛の治療は、継続的な治療が絶対的に必要となります。

数ヶ月程度で諦めず根気よく、最低でも1年は継続することを推奨いたします。

休止期脱毛症(きゅうしきだつもうしょう)

傾向と症状

髪の毛はヘアサイクル(毛周期)を経て、古い髪の毛が抜け、新しい髪の毛が生え変わるというサイクルが起きています。

ヘアサイクルは1周期「成長期→退行期→休止期」を繰り返し、人生の中で15回~40回生え変わります。
この回数は個人差によって異なります。

休止期脱毛症は、ヘアサイクルの休止期に通常以上の抜け毛が増加する症状です。

さらに、休止期脱毛症には3種類あります。

慢性休止期脱毛症  急性休止期脱毛症 慢性びまん性休止期脱毛症
症状 6ヵ月以上かけて髪が抜けていく 髪が急激に増加して抜ける  6ヵ月以上かけて髪が抜けていく
原因 原因不明 ストレス、風邪、大量出血、手術
ダイエットなどの栄養失調や出産によるホルモンバランスの乱れなど
糖尿病、肝障害、甲状腺疾患
膠原(こうげん)病、慢性腎不全などの慢性的な疾患または薬剤によるもの
治療 原因がわからないので抜け毛を防止する対策をする 原因を取り除くことで自然に回復することができる 原因を取り除くことで自然に回復することができる

慢性休止期脱毛症(まんせいきゅうしきだつもうしょう)

頭頂部や側頭部などの髪が6ヵ月以上かけて脱毛していく症状です。

上記の表に記載のように原因が不明です。

抜け毛が多くなった、神のボリュームに違和感を覚えたら慢性休止期脱毛症を疑いましょう。

当院では、原因が分からない慢性休止期脱毛症には脱毛抑制のために男性にはフィンペシア、女性にはパントガールを推奨しております。

料金に関する情報はこちらから>>

急性休止期脱毛症(きゅうせいきゅうしきだつもうしょう)

急性休止期脱毛症は他の2種類の休止期脱毛症とは異なり、短期間で抜け毛が増加します。

ヘアサイクルが身にミニマム化されてしまい、成長期にあった髪の毛が急に休止期に移行してしまい脱毛してしまいます。

日常のストレス(身体的・精神的)、手術後、風邪などによる高熱、新型コロナウイルスのような感染症の感染2~3ヵ月後に起こる場合があります。

中には一気に抜け毛が増加して円形脱毛症のように感じてしまい、誤った判断から対処が間違えてしまう場合があります。

正しい判断をするためにも専門医へご相談しましょう。

慢性びまん性休止期脱毛症(まんせいびまんせきゅうしきだつもうしょう)

慢性休止期脱毛症と同様、6ヵ月以上をかけて全体の髪のボリュームが下がってきます。

この脱毛症は、糖尿病、肝障害、腎臓障害、甲状腺疾患などの慢性疾患やダイエットなどによる栄養失調、頓服薬などの影響により引き起こされます。

根本的な原因が取り除かれることで毛量が回復していきますが、原因が難治性の高い病気であればその分、脱毛の改善が難しくなります。


脱毛症の原因が複数混在することで発症することや、脱毛症それぞれ共通する原因があります。
少しでも抜け毛に繋がる原因は取り除きましょう。

特徴

  • 頭部全体の脱毛
  • 柔らかい軟毛にならない
  • 長く硬い髪(硬毛)が抜けていく

この症状は休止期脱毛症の特徴で、男性のAGAや女性のびまん性脱毛症と似ていますが、その場合髪が軟毛化するので異なります。

原因

休止期脱毛症は、日常の生活環境、持病、出産など、生活を送る上で、日常的に起こり得る原因が主なものです。

ストレス

ストレスは男女問わず、誰にでも感じる精神的病気です。

ストレス人それぞれ感じ方は異なりますが、ストレスが与える免疫の低下は誰にも該当します。

免疫低下は、脱毛症に限らずさまざまな病気、疾患へと発展します。

ストレスは、交感神経が優先され自律神経が乱れ、血行不良となり脱毛が発症します。

社会、家庭、対人関係どこにおいてもストレスは感じるものです。

ストレスを感じないようにすることは難しいですが、ストレスを上手く解消していくことを見出していくことが、根本的な改善へ向かいます。

出産

妊娠時、分泌されていた大量のエストロゲンが出産後に、通常のホルモンバランスに戻ることで、成長期にある髪が一気に休止期に入ってしまい脱毛の原因になることがあります。

分娩後脱毛症という出産後の女性に多く見られる症状で、産後2、3ヶ月後に脱毛症上がでますが、産後から半年ほどで解消されていく、いわば生理的現象なので過度な心配ありませんが、長期に渡り抜け毛が解消されないようであれば一度専門医へご相談ください。

栄養不足

これまでに何度もご説明して参りましたが、髪の毛へ運ばれる栄養はすべて、臓器など生命維持に必要な場所へ届けられ、最後に行き届く器官です。

つまり栄養不足=髪へ栄養が行き届かないため毛根が栄養不足となり、ヘアサイクルのミニマム化やさまざまな脱毛症へと発展します。

栄養不足の代表的な原因と言えばダイエットです。
女性に休止期脱毛症が多く見られるのはこういった、ダイエットが原因とされています。

また、一人暮らしをされている方などはどうしても好きな食べ物に偏ってしまうため、栄養不足になってしまうので、サプリメントなどで栄養を補填するのが良いでしょう。

疾患

一見、頭皮の脱毛症とは関係ないような疾患が原因で脱毛を引き起こす疾患があります。
それが糖尿病や腎臓、肝臓障害、びまん性脱毛症でも原因となる甲状腺機能障害など、生活習慣病や臓器障害によるものです。

健康的な正常の頭髪を保つためにはサラサラとした血液や血流がとても重要です。

そのため、貧血を頻繁に起こす方なども脱毛症の見舞われる可能性があります。

これらの疾患をお持ちの方は、疾患を解消することで脱毛症が改善されることがあります。

改善法

原因改善

脱毛症を引き起こしている原因となっている疾患や薬剤、ストレスなど、そのものを解消することで脱毛症が改善されます。

生活習慣の改善

1日の食事、睡眠、運動といった基本的な生活習慣の見直し・改善です。

栄養バランス

生活習慣でもお話していますが、食生活の改善です。
バランスの取れた食事をとることで自然と脱毛症が改善される場合があります。

髪に良い3大栄養素というものがあります。

  • 亜鉛
  • ビタミンB群
  • タンパク質

特に亜鉛は髪の毛の生成にとても重要な役割を果たす栄養素となるので、
適度にコンスタントに摂取しましょう。

もちろん栄養素は改善のひとつであり、脱毛症全てが改善されるわけではありません。

バランスの良い栄養と治療薬を定期的に飲み続けることで、脱毛改善と増毛に繋がります。

ヘアファッション

円形脱毛症でもご紹介したウィッグや帽子などで頭皮患部を隠す方法です。

脱毛箇所を見られるだけでコンプレックスと感じ、ストレスを大きく感じてしまう方もいらっしゃいます。

帽子はTPOによって着用できない場合があります。
ウィッグに抵抗がある方もいらっしゃると思いますので、脱毛症が解消されるまでの間上手く利用していきましょう。

こういったヘッドアイテムを活用することで、脱毛症前と比べて生活の質を下げることなく過ごすことができます。

利用されていない方が、ヘッドアイテムを利用してから生活の質が向上したという研究結果もあります。

薬剤

抗がん剤により脱毛が生じる場合があります。

抗ガン剤による原因は、抗がん剤の薬理作用により、悪い細胞だけでなく正常の細胞にも影響を及ぼしてしまうことです。

髪の毛は新陳代謝が活発な細胞が多く含まれるため、抗がん剤の影響を特に受けやすいのです。

なお、特定の薬剤が脱毛の原因なのであれば、投与、服用を休止すれば脱毛の進行を止めることができます。

ウィルス(感染症)

  • 梅毒
    (感染部位(陰部や唇付近、口の中、肛門付近)にしこり、びらん、潰瘍などがあり、股のつけ根が腫れる性感染症)
  • 帯状疱疹
    (体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い斑点と水ぶくれが多数集まって帯状に生じる皮膚病)
  • 急性深在性毛包炎
    (黄色ブドウ球菌を原因菌とする毛包の細菌感染症)
  • 慢性膿皮症(化膿性汗腺炎)
    (ゆっくりと慢性に細菌感染を繰り返し、時に膿などを出す皮膚疾患)
  • ケルスス禿瘡
    (小児の発症率が高く、毛に侵入した白癬菌が原因の炎症性頭部白癬)
  • ハンセン病
    (伝染力は弱い。顔面や手足の末端が麻痺(まひ)したり、顔面に出来た結節が崩れたりする)
  • 新型コロナウイルス
    (中国の武漢が発症減となったパンデミックウィルス:COVID-19)

これらのウィルスが原因で脱毛症が発症するケースがあります。

通常、ウィルスを完全に撃退できれば脱毛症などは解消されますが、近年世界で猛威を振るう新型コロナウィルスは治療後に脱毛症という後遺症が残ると言われています。

原因はまだ解明されておりませんが、AGA治療薬で解消されることが実証されています。

治療法

メソセラピー

髪の成長を促進する有効成分を薄毛箇所に直接注入する治療方法です。

弱体化した髪細胞を活性化して改善に向かいます。

またメソセラピー治療は、クリニックごとで独自の調合を行っているケースが多いです。

メソセラピーの薄毛治療は、高額になるので継続治療を行うためにも、慎重に検討しましょう。

※当院では行っていません。


休止期脱毛症は休止期から抜けるための2ヶ月~4ヶ月成長期に入り毛髪が生成されて落ち着くまでに3ヶ月と言われていますので半年ほどの期間を目安に見ていただけば、回復されることでしょう。

トリコチロマニア(抜毛癖)

傾向と症状

トリコチロマニアは一種の精神障害で、毛髪を繰り返し引っ張ったり、引き抜いたりします。

最も多い行動は、頭皮、瞼、または眉毛の抜毛ですが、体のあらゆる部位の毛が対象となり、抜毛の部位は時間の経過とともに変化することがあります。

無意識で若干自動的に行ってしまう方もいれば、意識して行っている『自動化形』と、緊張感や不安感を感じた時、突発的に先行して、それが抜毛することで軽減することがあったり、その後に満足感を覚える『焦点化型』があります。

抜毛症の方は、毛を引き抜く行動をなくすために頻度を減らそうと、試みるケースは多くありますが、大半が不成功に終わります。

典型的には、抜毛は思春期の直前、または直後に始まります。

本障害の時点有病率は約1~2%で、成人の抜毛症の約90%は女性という調査報告があります。

原因

実はこのトリコチロマニアの原因は解明されていません。

多くの場合、その原因は精神的ストレスによって発症する可能性があると考えられています。

発症者は髪の毛をを抜くという行動を起こすことで、不安な気持ちが和らぐまたは満足感といった快楽に近い感覚を経験してしまうと繰り返し同じ行動を繰り返します。

出産

妊娠時、分泌されていた大量のエストロゲンが出産後に、通常のホルモンバランスに戻ることで、成長期にある髪が一気に休止期に入ってしまい脱毛の原因になることがあります。

分娩後脱毛症という出産後の女性に多く見られる症状で、産後2、3ヶ月後に脱毛症上がでますが、産後から半年ほどで解消されていく、いわば生理的現象なので過度な心配ありませんが、長期に渡り抜け毛が解消されないようであれば一度専門医へご相談ください。

改善法

トリコチロマニアは「習慣逆転法」「内服薬」が考えられます。

認知行動療法は、現時点で第1選択の精神療法とされ、行動療法の側面が強い習慣逆転法が推奨されています。

習慣逆転法

トリコチロマニアの治療法において最もよく用いられる治療法が認知行動療法です。

当人が動揺した時など、脳内でどんなことを考えているのか(自動思考)が、現実とどの程度食い違っているのかを検証し、思考のバランスを整える療法で有効的とされています。

習慣逆転法には以下の4つの段階で行われます。

段階1.意識下練習

止めるという習慣(抜毛行為)をトリコチロマニアの方自身が意識して治す方法です。

この治療の意図は、無意識で自動的に行ってしまう『自動化形』も多く、まずはその行為をしていることを本人に意識させます。
その行為を起こす毎に家族やパートナーなど身近な人が指摘することで、徐々に本人がその習慣に気が付くようになります。

本人が抜毛行為をすることに意識できたら、次の段階で、を引き起こすのはどんな状況なのか、分析して記録しておきましょう。

段階2.拮抗反応の学習

段階1の意識下練習で、抜毛行為がある程度意識できるようになったら、抜毛行為の代わりになる新しい習慣を身に着ける運動を開始します。

「抜毛したい」という気持ちになった時、手や指を使えなくなるような「行動習慣」であることが絶対条件です。

例では「編み物をする」「手の上に座る」「こぶしを作る」などが一般的です。

その他には、パートナーがいれば「手を握る」ある程度、抜毛行為の周期がわかれば、没頭できる「料理」なども良いようです。

段階3.偶然性の管理と汎化(はんか)練習

腹式呼吸などでリラックスすることです。

腹式呼吸で、リラックスしている時に作用する副交感神経が活発に働き、気分が落ち着かせることができます。

※汎化とは様々な異なる対象に共通する性質や、共通して適用できる法則などを見出して行動を一般化させること。

段階4.拮抗(きっこう)反応の学習

偶然性の管理は拮抗反応(ある反応と同時に発生しない反応)の学習で身に着けた、抜毛行為に変わる新しい習慣を完全に身に着けさせるため、何かしらの褒美を与え、抜毛行動とは違うことで喜びや快感を感じさせて継続させることです。

汎化練習は、意識下練習の際に記録していたものを参考にしながら、その衝動が起きるケースを想定し、抜毛をしたいという衝動がいつ起きるのか、抜毛しないイメージトレーニングを行います。


認知行動療法の「習慣逆転法」は根気と周りの方のサポートが不可欠です。

継続される期間は長期間を要する場合がありますが、この認知行動療法はとても効果的で改善されると、その後再発されることが少ないとされています。

大きなストレスを長期間感じてしまう環境下に置かれてしまうと再発される可能性があります。

周りの方の神経と労力は大変なものかもしれませんが、患者様に寄り添って一緒に治療に向けて歩んでいくことで、治療期間も最短で改善されることでしょう。

治療法

心理療法
  • テストを通じて患者の心理状態を読み取り、行動の改善を促す治療法
  • 実際に心理療法によりトリコチロマニア(抜毛癖)の抜毛症状が改善したという報告はあるものの、現時点では十分な治療成果は出ていない
行動療法
  • 「抜毛しない」という意識化を促し、行動の改善を促す治療法
  • 無意識に抜毛してしまう場合に用いられる
薬物治療
  • 抗精神病薬を投与する治療法(選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)またはクロミプラミン)、非定型抗精神病薬(オランザピン)
  • トリコチロマニアは精神疾患が要因で皮膚に症状がでるため、「一次性精神疾患」に分類され、抗精神病薬の対象となる

分娩後脱毛症(ぶんべんごだつもうしょう)

傾向と症状

休止期脱毛症でも、出産後の脱毛についてご説明しましたが、分娩後脱毛症は、別の脱毛症です。

出産から2ヶ月~3ヶ月後に発生して、額、頭頂部(つむじ)に症状が出やすい傾向にあります。

産後脱毛症ともいいます。

経産婦の7割の方が経験しているというデータもあり、産後にとても多い悩みのようです。

目に見えて薄くなる方は少数で、通常は出産後から半年から1年ほどで自然に回復していきます。

これは通常の抜け毛とは違い、産後に起こる特有のものですので、 通常の抜け毛や男性型脱毛症(AGA)などの原因とも全く異なりますのでご安心ください。

特徴

女性ホルモンのバランスによるものだと言われています。
妊娠中はプロゲステロンと呼ばれる女性ホルモンが上昇します。

妊娠中は、出産後と対照的で、ホルモンバランスの影響で髪の毛が抜けにくい状態になっています。
そのため「体毛が濃くなった」「毛深くなった」と感じる妊婦さんも少なくありません。

その後、プロゲステロンの分泌が低下することで、ヘアサイクルが一斉に休止期に入るため、成長していた髪の毛が一気に抜けるのが特徴です。

改善法

前述に記載のように分娩後脱毛症は、出産後ホルモンバランスが元に戻り今まで滞留していた、全身の毛が向け落ちて新しい毛が生え始めれば自然と回復していきます。

牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)

傾向と症状

髪の長い方に見られる症状のため、割合的に女性に多く見られます。

髪をヘアゴムなどで長期間、縛っていることが原因で一過性(短期間)の脱毛によって薄毛を起こすことがあります。

生え際(額)が部分的に薄くなっているようであれば・牽引性脱毛症を疑ってみましょう。

髪が引っ張られることで、毛幹へのダメージや、引き抜かれるなどの物理的な負荷により髪が抜ける症状になります。

※毛幹とは頭皮から出ている髪の毛を指します。頭皮の中にある部分は毛根と呼びます。

特徴

牽引性脱毛症の一番の特徴はこれまでの様々な脱毛症の原因には該当しない点です。

加齢、ストレス、生活習慣、疾患、薬剤、ホルモンなどすべてが当てはまりません。

それは牽引性脱毛症の原因は牽引=引っ張るということにあるためこの引っ張ることがなくなれば症状は治まります。

その他の特徴は、枝毛・切れ毛が増える点や引っ張られている箇所の密度が低下していく点です。

引っ張ることをやめることで脱毛症は改善されますが、それまでの間に毛根が死んでしまっては、二度と髪の毛が生えてくることはありません。

抜け毛をチェック

牽引性脱毛症による抜け毛の状態をチェックしてみると区別しやすいでしょう。

check1:
成長途中から髪を引っ張られたことによって抜け毛の根元に髭のような形に変形している
check2:
毛根鞘(もうこんしょう)と呼ばれる」半透明な白い膜が付着している

牽引性脱毛症による抜け毛は、健康な髪が負荷によって抜けているため、毛根の状態が正常であることがほとんどです。

毛根の形がいびつであったり、痩せ細っている、毛根がないなどの異常が見られるようであれば、他の脱毛症を疑うべきでしょう。

原因

髪の長い方で、特に女性はさまざまなヘアアレンジをされますが、長年長い髪にされている方は神を束ねることが多々ある事でしょう。

これは長期間で頭皮にダメージを与え続けており、血行不良などから髪の毛へ十分な栄養が行き届かなくなってしまいます。

では、どのようなヘアスタイルが牽引性脱毛症を引き起こすのでしょうか?

エクステンションによるダメージ

近年若い女性が良くつけるこのエクステンション(通称:エクステ) エクステは地毛とエクステを三つ編みで結びさらにゴムで外れないよう、きつく装着します。

エクステは数週間~数ヶ月装着しているため髪の毛にはかなりのダメージとなります。

また、膠着した髪の毛にはさらなる重みがあるため常に引っ張られている状態になります。

さらに、装着部分に汚れなどが溜まりますが編み込んでいるため汚れが除去できないためそこに汚れが滞留する形となるため頭皮トラブルに直結します。

ヘアアイロンによるダメージ

女性が良く使用するヘアアイロン。

ヘアアレンジなどで良く使用されますが、このヘアアイロンによって髪の毛の養分が放出されてしまい、ダメージヘアとなり切れてしまったり、抜け毛へと発展します。

ヘアアイロンを使用することで髪の毛に必要以上の熱が加わり、髪の毛が乾燥します。
やがて髪の毛にダメージホール(髪の毛に穴が開く)が発生、髪の毛に必要な養分が放出されます。

ヘアアイロンの用途は、髪の毛を挟んだり、巻いたりすることでヘアアレンジを楽しめますが、
この行為が、髪の毛だけではなく使用方法によっては頭皮までもダメージを与えてしまいます。

ヘアアイロンを利用される方は長年利用される方がほとんどだと思います。

長年利用することでダメージが蓄積、さらにカラーリングやパーマをすることで、髪の毛にかかる負担は相当大きなダメージとなり、枝毛で乾燥したパサパサの髪の毛が常に生えている状態となり切れ毛と抜け毛の量が年々増加する傾向になります。

編み込み(三つ編みなど)

ポニーテールでゴムできつく縛ってしまうことは牽引性脱毛症につながりますが、それ以上に三つ編みやドレッドヘア、コーンローなどは更に大きなダメージを与えます。

編み込み系のヘアスタイルは、ゴミや汚れが滞留しやすく、なかでも特にドレッドヘアなどは、しっかりと洗髪が行えないため頭皮の毛穴に汚れが溜まり続けてしまい、牽引性脱毛症以外の脱毛症も引き起こしやすくなります。

また、ドレッドヘア、コーンローは髪の毛どうしを編み込むことで、重量がでてきます。
その分、重力と重さにより牽引力が強まり、毛根へのダメージが高まります。

ポニーテールや三つ編みなどはほどけば牽引から解放されますが、ドレッドヘア、コーンローなどは常にその状態が維持されるので、尋常じゃないほどのダメージを与えます。

女性なら誰しもがヘアアレンジを楽しみたいと思いますが、髪の毛に負担のかかるヘアスタイルをしたら、髪の毛を休ませる時期を定期的に与え髪の毛を回復させましょう。

こういった事で牽引性脱毛症のリスクは減少します。

改善法

牽引性脱毛症の原因は髪の毛を『引っ張る』ことで引き起こされる脱毛症です。

つまり、髪の毛を引っ張る行為をやめれば解消・改善されます。

毛根が生きている限り、一時的にボリュームが下がっても、のちのち回復して髪のボリュームも元通りになります。

ですが、死んでしまった毛根が蘇ることはありません。
そうなってしまわないためにも、髪の毛への休息と定期的なメンテナンスを行いましょう。

脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)

傾向と症状

脂漏性皮膚炎は、乳児や思春期、30代~70代に多い皮膚炎で、女性より男性に大変多い症状です。

脂漏性皮膚炎の症状はストレスや高温・多湿の気候に加え、紫外線が強い梅雨の時期や冬の乾燥などによっても症状が悪化する場合があります。

外気に直接触れる顔や頭皮は、特に影響を受けやいため、炎症や湿疹が生じやすくなります。その一つが脂漏性皮膚炎です。

従来はホルモンバランスの乱れやビタミンB不足、洗いすぎ、洗い残しが原因と指摘されています。

これらも原因のひとつですが、現在は直接的な原因がカビ(真菌)であることが分かっています。

特徴

頭皮に皮脂が過剰に分泌されることによって、皮脂をエサにしている"マラセチア"という常在菌(カビ)が多量に繁殖します。

常在菌は人の身体に常に存在する微生物であるため、多くの人に共通しています。そのためマラセチアは、病原性を示さないものを指し、病的原因で発生する菌ではありません。

種類は多種多様で身体の部位により違いが見られ、地域環境や生活習慣(QOL)によって大きく変動します。マラセチアはすべての人に対して脂漏性皮膚炎を引き起こすわけではなく、皮脂の分泌状況や高温多湿など、様々な環境因子によって発症すると言われています。

しかし、マラセチアは「健康な身体にも存在する菌」であり、ほとんどの人の頭皮や皮膚に存在している常在菌なのです。

マラセチアが皮膚から分泌される皮脂を分解することで皮膚に炎症を起こし、頭皮に目視で確認できる程の赤みがみられ、過剰な皮脂やフケが出る原因となります。

過剰に分泌された皮脂が、毛穴や毛根を炎症させる事は、毛根にダメージを与え抜け毛や薄毛を引き起こす原因になります。
過剰な皮脂が酸化することによりニオイの原因にもなります。

また、食生活の乱れも原因として大きく関わってきます。
例にあげると、一人暮らしの男性など、食事が偏りがちな生活を送りやすい環境の方は発症しやすいとも言えるでしょう。

脂漏性皮膚炎は生活習慣(QOL)や食生活を見直し改善することで、症状を緩和し頭皮バランスの修復にもつながります。

原因

  • 皮脂の貯留
  • 皮脂の貯留によりマラセチアの繁殖
  • 生活習慣の乱れ(睡眠不足など)
  • 食事の乱れ(暴飲暴食、ビタミンB・C不足など)
  • 過度なストレスによるホルモンバランスの乱れ

改善・予防方法

  • 脂っこい食事を控える
  • ビタミンBとCを取る
  • 洗髪に気を付ける(洗いすぎや洗い残し)
  • 睡眠をしっかりとる
  • 紫外線を避ける

上記のような日常生活の中で取り組むことができる改善・予防方法を心掛けることも脂漏性皮膚炎の予防や改善に繋がります。

脂漏性皮膚炎の影響による抜け毛や毛根のトラブルは珍しい原因ではありません。

一度脂漏性皮膚炎になると、傷ついた毛根の修復には時間がかかるため、抜け毛や前髪の後退が目立ってしまうこともあります。

AGA治療薬を続けて服用することと共に、生活習慣の見直しも心がけるようにしましょう。