避妊失敗した際、緊急的に妊娠を防止するため服用し高い可能性で妊娠を防止できるのがアフターピルです。
望まない妊娠をしてしまった際、医療機関にて手術を行い人工的に妊娠を中絶させることを人工妊娠中絶といいます。
人工中絶手術は、多額の費用がかかり身体への負担が大きい上に精神的負担もあるので、望まない妊娠を避けるためには、正しい避妊方法の知識を身に着けておくことがとても重要です。
アフターピル(緊急避妊薬)
避妊に失敗してしまった時や、性被害にあったときなど望まない妊娠を避けるめに緊急で使用する避妊薬になります。
避妊失敗後に、妊娠を防止する方法はアフターピルのみです。
服用するだけで高い妊娠回避率が望め、他の避妊方法に比べても早急に処置ができるため避妊失敗後の第一選択肢として使用されています。
避妊に失敗した性行為から72時間以内に服用する必要があり、服用する時間が早ければ早いほど妊娠回避率は上がります。
ノルレボジェネリックなら72時間以内の服用で約95%以上の妊娠回避率がありますが、100%確実なものではありません。
また毎日服用することで妊娠を回避する低用量ピルとは異なり、1錠中に多量の女性ホルモンが含まれているので乱用することは避け、あくまで緊急用として使用するものとして認識が必要です。
メリット
- 避妊失敗後、緊急時に服用することができる
- 1錠服用するだけで最大99%以上の避妊効果を得られるので簡潔に妊娠を回避することができる
- 中絶手術のように体に負担やリスクを伴いにくい
デメリット
- あくまで緊急用なので計画的に避妊することはできない
- 副作用が起こることがある
- 避妊が見込める時間に制限がある
中絶手術
中絶手術は正式名称を人工妊娠中絶手術と言います。
人工妊娠中絶手術は、日本で定められた母体保護法が適応される場合のみ可能であり、それに反する場合は中絶手術を受ける事ができません。
母体の健康上の理由で、妊娠の継続・分娩が困難な場合ならびに経済上の理由がある場合。
もうひとつは、性被害・性犯罪に巻き込まれ抵抗ならびに拒絶ができなかった場合です。
人工妊娠中絶手術はどこの産婦人科医やレディースクリニックでも受けられるわけではなく、母体保護法指定の資格を持つ「母体保護法指定医」がいる病院やクリニックで手術を受ける事が可能となります。
人工妊娠中絶手術が受けられるのは妊娠22週未満(妊娠21週と6日)までとなっています。
妊娠初期(12週未満)の手術を「初期中絶」妊娠12週~22週未満の手術を「中期中絶」とそれぞれ手術の方法が異なります。
妊娠初期(12週未満)の場合は、掻爬法(ソウハ法)または吸引法で手術が行われます。どちらの方法も静脈麻酔をし器具で子宮内容物を取り出します。
10~15分程の手術で終わり、痛みや出血も比較的少ないため術後の経過に問題がなければその日に帰宅できます。
妊娠12週~22週未満の場合は、上記の方法で手術が行えなくなるため子宮収縮剤で人工的に陣痛を起こさせ流産させる手術方法になります。
身体への負担が大きいため数日間の入院が必要です。
妊娠12週以降の中絶手術の場合は、死産届けを出す必要があります。
人工妊娠中絶手術は健康保険適応外になり、妊娠12週以降の場合は手術代のほかに入院代もかかるので経済的な負担も大きくなります。
また、いくら日帰りの手術であっても身体には大きな負担がかかりますし、精神的な面でもかなりの負担がかかってきます。
人工妊娠中絶手術の決断をした場合は、少しでも負担を減らすよう手術の日程をできるだけ早めに決めるようにして下さい。
人工妊娠中絶手術後、その後の妊娠に影響が出るわけではありませんが、望まない妊娠を繰り返さないためにも、女性主体で行える高い避妊方法を始めることを考えて下さい。
中絶手術の費用
妊娠期間が何週目なのかにより手術の方法や入院期間が異なります。
「初期中絶」「中期中絶」に合わせて費用も異なります。
クリニックによって費用の差異は大きいですが、以下が中絶費用の目安となります。
初期中絶
¥88,000~¥128,000(消費税、手術、麻酔、術後の検診費用込)
中期中絶
¥88,000~¥140,000(消費税、手術、麻酔、術後の検診費用込)
入院などの状況によっては、¥400,000以上の高額費用が掛かる場合もあります。
入院期間も最長で1週間の日数が必要になる場合があります。
中絶手術は身体へのリスクだけではなく費用のリスクが大いに関わってくることが否めないということです。
術後の経過
手術当日の術後は麻酔が多少残っている為、頭がぼんやりとします。
翌日には麻酔は切れて体調が安定して、出血や下腹部痛も改善に向かっていきます。
出血
術後は平均して1~2週間程度にわたって出血がございますが、経過とともに徐々に治まっていきます。
子宮も元の状態に戻るまで2週間程度の時間を要します。
また、出血量や出血する期間は個人差がございますので、安定期まで無理をしない過ごし方を心掛けましょう。
※ホルモンバランス 正常値までに約1週間の時間を要するので、その期間は激しい運動や力仕事はお控えください。
痛み
麻酔が切れると痛みを生じます。
子宮が元の大きさに戻り収縮痛が起こります。
これは時間経過と共に治まっていき、ほとんどは数日で気にならなくなります。
帰宅時には生理痛程度の痛みであることが多く、普段の生理で痛みが強い方はやはり手術後の痛みも強くなる傾向があります。
入浴
手術の当日からシャワーは可能です。
バスタブに浸かるのは感染症予防のために1週間後の検診を受けて医師の許可が出てからにしましょう。
飲酒
子宮が順調に収縮して元の状態へ戻りおり、出血がなくなっていれば飲酒も可能ですが、過度な飲酒はお控えください。
過度なアルコール摂取によって血液の流れが速くなり、止まった出血が再発してしまう可能性があります。
性行為
中絶手術から2週間以上が経過していること。完全に出血や痛みがなくなっていること。
以上が性交渉再開の最低条件になります
生理の再開
普段安定した生理周期の方は術後1~1ヶ月半で再開します。
生理不順の方はもっと再開が遅れることもあります。
アフターピルの薦め
以上の事からも中絶には経済的にも肉体的にも大きなダメージが伴います。
避妊失敗時に妊娠を望まない場合は、妊娠を回避する為にもアフターピルによる避妊処置が有効です。
先ずはご相談下さい。
低用量ピル(経口避妊薬)
低用量ピルは別名OCとも呼ばれています。
低用量ピルの中には卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれています。
服用するとこの2つの成分が、脳に作用し卵胞の発育と排卵が抑制されます。
また、受精卵が着床しにくい子宮内膜の状態を作り上げたり、子宮経管粘を精子が侵入しにくい状態へと変化させます。
正しく服用を続けることで妊娠回避率は99%以上と高い避妊効果があります。
メリット
- 99%以上の高い避妊効果がある
- 月経困難症・過多月経・PMSの改善ができる
- 子宮内膜症・卵巣がん・子宮体がんの発症リスク軽減
- にきび治療
デメリット
- 飲み始めに副作用が起こることがある
(むくみ・吐き気・乳房の張りなど) - 血栓症
(妊娠時のリスクよりは相当低い) - 服用できない人がいる
(35歳以上で1日15本以上喫煙する方)
コンドーム
薄いゴムでできた袋を男性器にかぶせて使用し、精子が膣内へ侵入するのを防ぎます。
値段も安く、薬局やコンビニで購入できる手軽さから最もメジャーな避妊方法となっています。
性感染症の予防には適していますが、誤った装着や破損・脱落などによる失敗もあるので低用量ピルと比較すると妊娠回避率は約70~80%と低下します。
メリット
- 薬局やコンビニで手軽に購入できる
- 使用が簡単
- 性感染症の予防ができる
デメリット
- 破損や装着ミスが起きることがある
- 男性主体の避妊方法である
性行為の際にコンドームを使用した場合でも、正しい使用方法を守らないと妊娠する可能性があがります。
コンドームによる避妊は手軽にですが、正しい使用方法で使用している方はとても少ないです。
性病予防には高い効果がありますが妊娠を望んでいない場合、コンドームのみ避妊方法はお勧めできません。
正しいコンドーム使用方法
正しいコンドームの装着方法での使用
挿入中にコンドームが外れてしまったり、膣内に残ったりしてしまう場合があります。
そのほとんどの原因がコンドームの間違った装着方法が原因です。
- 装着前にしっかりと手を洗う。
手に精液やカウパー腺液(尿道球腺液)が付着したままコンドームを装着した場合、妊娠する場合があります。 - コンドームを傷つけないように封を開ける。
- 爪を立てないようにコンドームを取り出す。
- 裏表の確認をしっかりとし、先端をつまみながら空気を抜く。
- 勃起状態の男性器にコンドームをかぶせ途中までゆっくりとおろす。
- 男性器の皮部分を調節しながら根元までゆっくりとおろす。
装着・外すタイミング
射精する時だけでなく挿入前にしっかりとコンドームを装着する必要があります。
射精後はすみやかに根元を押さえながらコンドームを外してください。
コンドームの保管方法
コンドームの使用期限が切れていた場合や老化したコンドームを使用し場合、行為中に破けてしまう場合があります。
ホテルなどに置かれているコンドームを使用した場合も、劣化していたり穴があけられている場合もあるため注意が必要です。
正しい使用方法をした場合の97%の可能性で避妊にを成功させることができます。
膣外射精(いわゆる外出し)について
コンドームを使用せずに性行為を行い膣外射精(外出し)をしても避妊にはなりません。膣外射精をした場合でも妊娠の可能性は20%以上あります。
男性器は射精する前から精液が含まれた粘液が分泌されいます。 そのため、膣外で射精しても妊娠率が20%以上あります。
また、膣内を水や炭酸水などで洗浄した場合でも精子は子宮に到達している可能性があるため避妊効果はありません。
子宮内避妊具
子宮内避妊具とは子宮内にプラスチック製の小さな器具を装着する避妊方法です。
一度装着すれば2~5年ほどの効果があり約90~99%と高い避妊効果もあるので、長期で妊娠を望まない方に適しています。
子宮内避妊具は数種類あり避妊効果や避妊のメカニズムも異なりますが主には受精卵の着床を防ぎ、精子が子宮内へ侵入するのを抑える効果があります。
メリット
- 1回の装着で2~5年ほど有効
- 高い避妊効果がある
- 女性主体で避妊ができる
- 授乳中でも使用可能
デメリット
- 保険適応外である
- 装着も除去も必ず医療機関で行う必要がある
- 定期的に診察が必要である
- 装着時に出血や多少の痛みを伴う場合がある
避妊手術
避妊手術は男性が受ける手術と女性が受ける手術があります。
男性・女性の場合も生殖器に手術を施し、完全に受精しないようにします。
高い避妊効果は望めますが一度手術を受けると元に戻すことは非常に難しいです。
女性⇒卵管結紮術(らんかんけっさくじゅつ)と言い卵子の通り道となる卵管をプラスチック製のバンドで留めるか、卵管を切断して糸で縛る方法があります。
入院が必要となり、女性の場合は一度手術を行うと元に戻すことが得に難しいです。
男性⇒精管結紮術(せいかんけっさくじゅつ)またはパイプカットと言い、精子の通り道となる精管を切断して糸で縛ります。 30分ほどの日帰り手術で行うことができます。
メリット
- 手術を行えば避妊効果は半永久的である
- 妊娠のことを気にせずに済む
デメリット
- 外科手術が必要であり女性の場合は入院しなくてはならない
- 手術を行うと元に戻すことが困難である
リズム法
月経周期や基礎体温をもとに、排卵日を予測しその間の性行為を避ける方法になります。
排卵が起こると女性の基礎体温はわずかに上昇するので、体温の変化を把握するために毎朝起きてから基礎体温を計測します。
しかし、体調不良やストレスなどで基礎体温が変動する可能性もあるため排卵期が予測しにくくなる場合があります。
そのため確実な避妊方法とは言えないので、あくまで補助的なものとして理解しておく必要があります。
メリット
- 月経周期を把握できる
- 費用や副作用といったものがない
デメリット
- 月経周期が乱れたり体調の変化があると正確な予測が困難になる
- 確実な避妊方法ではない
安全日や生理中でも、避妊せずに性行為をした場合、子宮内で精子が3~7日間生き残ってるいる場合があるため、妊娠の可能性はあると考えた方が良いでしょう。
中絶薬
日本で中絶薬の使用は認められていませんが、1980年代より欧米では妊娠初期の人工妊娠中絶に対する薬剤的妊娠中絶手段として、安全性や簡便性のメリットより第一選択薬として使用されてきました。
下記の記事で詳しく中絶薬について解説しています。
緊急避妊薬と中絶の違い
まとめ
避妊失敗後に、妊娠を回避する方法はアフターピルしかありません。
そして、避妊に対する知識が誤っており(膣外射精や間違ったコンドームの使用方法)などで望まない妊娠をし人口中絶手術を選択せざるをえない女性が数多くいるのが現実です
避妊に対して正しい知識を知りしっかりと避妊することが大切です。