日本未承認薬の中絶薬
中絶薬は現在、約80ヵ国以上の諸外国でが承認されています。
国内でも経口中絶薬の承認申請はされていますが、2022年11月の現在、日本では承認されていません。
承認されない背景には様々な「リスク」が理由とされています。
ここでは承認されない理由やそのリスクを詳しくご説明して参ります。
中絶薬の処方・購入
経口中絶薬は海外製品のものしかありません。
前述でもご説明したように、日本では中絶薬が未承認薬なため処方・購入はできません。
個人輸入代行による輸入もできません。
輸入には、医師の処方箋または指示書に基づいた上で、必要な手続きを行わない限り、個人の輸入は不可能です。
堕胎のしくみ
経口中絶薬を使った堕胎方法は、『妊娠状態を薬剤によって妊娠プログラムを強制的に中断し、人工的に陣痛を誘発して胎児を排出します』
諸外国によってそれぞれの服用方法がありますが、WHO(世界保健機関)が推奨しているのは2種類を併用する方法です。
妊娠状態を継続するための、プロゲステロンというホルモンの分泌を経口中絶薬の成分によって抑制して、強制的に妊娠の維持が不可能な状態にします。
“ミフェスプリストン”という薬剤を服用することでプロゲステロンの分泌を抑制。
続いて“ミソプロストール”という薬剤によって、子宮収縮を起こし陣痛を誘発。
陣痛を誘発して堕胎するため、出血とかなりの痛みを伴います。
しかし、それでも日本で主流としている初期中絶方法※1(掻爬術)より母体への影響は少ないようです。
しかし、ここ10年「吸引法」という手法が主流となっています。
真空状態で内容物を吸い出す方法でこれまでの掻爬術(そうはしゅじゅつ)と比べて、出血量やその後のリスクが少なくなっています。
※1子宮口より小さなスプーンのような器具で内容物を掻き出す手術
日本で中絶薬が承認されない問題
では、なぜ中絶薬が承認されないのか?
日本で経口中絶薬が未承認な理由として、2つの問題が挙げられています。
母体保護法
日本では、母体の健康を守るための法律として『母体保護法』の制定の規定があります。
1996年に施行開始され、人工中絶の処置は指定医師のみ行うことが許可されています。
人口中絶の処置は以下のいずれかに該当する場合のみ指定医師が処置を行う事ができます。
- 経済的理由や身体の理由によって、妊娠の継続や分娩が母体の健康を害するおそれがある場合
- 同意のない性交や性的暴行により妊娠した場合
母体保護法を守るために刑法も制定されています。
刑法212条堕胎罪では、妊娠中の人が薬物やその他の方法で堕胎した場合、懲役刑が課されます。
この様に指定医以外の人口中絶処置は認められていません。
妊婦が自分自身で、経口中絶薬などを用いて堕胎した場合も、法律に抵触されてしまいます。
副作用による危篤・危険性
経口中絶薬の使用はとても繊細なものです。
承認されている諸外国でも専門医の処方や、その後の経過観察が必要とされています。
なぜなら、経口中絶薬は重篤な副作用を起こす可能性があるからです。
経口中絶薬の使用者100人のうち10人程度の割合で、緊急手術を必要とするほど危篤性の高い副作用により搬送されているという報告があります。
膣から大量出血を引き起こし、母体の生命に関わる危険性があるため、国内で危険視されており承認されない理由のひとつだと考えられます。
さらに、経口中絶薬は子宮外妊娠の際の堕胎には効果ないものとされています。
妊娠反応が出ても医師の診察を受けなければ正常妊娠か※1子宮外妊娠かの判断ができません。
そのため、専門医の診断を無くして、自己判断による経口中絶薬を用いた堕胎を行い、堕胎完了と判断してしまうと、子宮外妊娠の放置に繋がってしまうことが危惧されています。
結果、子宮外妊娠を放置したことによる「卵管破裂」などで母体の生命を脅かす症状に繋がったなどの報告があるようです。
※1 精子と卵子が融合した受精卵が、子宮内膜ではない場所に着床する異常妊娠
日本厚生労働省からの注意喚起
母体保護法 副作用による危篤・危険性で説明した2つの理由により日本では承認されていません。
また、個人輸入して経口中絶薬を服用したことによる健康被害の報告がされたことから、厚生労働省は医師の関与しない個人の輸入を禁止としています。
現在、いくつかの経口中絶薬を制限し、個人輸入しないよう厚生労働省から注意喚起をしています。
厚生労働省が注意喚起している経口中絶薬
法律の規制をかいくぐった個人輸入代行などの悪徳業者が存在します。
承認されている諸外国でも自己判断による個人での服用は危険であるため、専門医の診断・処方を行わなくては入手することは出来ません。
中絶薬を購入できる手段を見つけても、決して購入しない、決して服用しないでください。
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服用禁忌者の特徴と副作用
経口中絶薬は取り扱いがデリケートであるため、服用には限られた条件があります。 体質・持病によっては服用禁忌者(飲むことが出来ない人)に指定され服用することができません。
下記の項目に該当した場合、服用が不可能となります。
服用禁忌者の特徴
- 最後の月経から49日以上経過している
- 子宮内避妊具(IUD)を挿入中
- 卵管妊娠(子宮外妊娠)をしている
- 副腎障害を持っている
- 異常出血がある
- 抗凝血剤を服用中
- ステロイド薬物による治療を受けている
- 成分に対してアレルギーを持っている
経口中絶薬の種類によって多少の誤差はありますが基本、上記に当てはまる場合
服用すると重度の副作用を引き起こして、健康障害に見舞われる可能性が高いとされています。
副作用
- 膣からの出血
- 下痢
- 吐き気
- 腹痛
- めまい
- 腰痛
承認申請を実施
経口中絶薬の服用には大きなリスクが伴い、そのリスクが重視されています。
それでも世の女性にとって「望まない妊娠」は心身へ精神的に大きな負担がかかります。
健康被害が危惧されている経口中絶薬でありますが、女性が抱える負担緩和のため『中絶法の選択肢』を少しでも、と考え2021年4月イギリスの製薬会社[ラインファーマ]が行った治験結果の報告が日本婦人科学会で発表されました。
~結果内容~
「母体保護法指定医師」が処方する『2種類の錠剤を服用する経口中絶薬』
- 妊娠後63日目までに1つ目の「ミフェプリストン」を服用
- ミフェプリストン服用から36時間~48時間後に2つ目の「ミソプロストール」を服用し中絶を促す
国内で中絶を希望する妊娠63日目までの18歳から45歳の妊婦120人を対象に臨床試験結果で93.3%が、24時間以内に中絶に至った
治験の結果※1日本国内での有効性や安全性が確認されたとして、製薬会社は2021年内に経口中絶薬の承認申請を行う見通しであることが報道されました。
そして2021年12月22日、厚生労働省に承認を申請しました。
選択肢が増えることで、女性の負担が軽減につながるのであればよいと思いますが、堕胎することで女性の身体に負担がかかることや、『生命の危険性』があるリスクがある以上、賛否があるのは致し方ないことなのかもしれません。
「経口避妊薬」という避妊法
望まない妊娠をしてしまったら堕胎するまでの間、不安でいっぱいですよね。
堕胎後は不安や心身的な負担は解消されますが、堕胎に至るまでの痛みや堕胎された胎児を目の当たりにすることで、中には堕胎をきっかけに“うつ”や“トラウマ”にほど大きな精神的ダメージを与えます。
今後、経口中絶薬が承認されたとしても、安心して喜べるものではないでしょう。
男性用避妊具「コンドーム」は破れたり、穴が開いていたなどのリスクがある上、コンドームは男性の意思で装着してもらうほかありません。
しかし、男性が拒むなどでコンドームを装着した避妊が難しいケースはよくあるようです。
避妊具などを使用した性行為は“女性の意志による避妊“が必要であるのが現実のようです。
「望まない妊娠をしない」事が一番。
ではどのようにすればよいのか?
100%の避妊は現代では不可能ですが、100%に限りなく近い確率で避妊することは可能です。
自分にとって何が一番良いのか?
最善策の形で避妊を行いましょう。
アフターピルと比較
下記の表は中絶薬とアフターピルの現状に置かれる、基本情報を比較したものです。
中絶薬 | アフターピル | |
---|---|---|
承認 | 薬事法上 未承認 | 薬事法上 承認済み |
効果 |
1.中絶薬ミフェプリストンを内服妊娠維持に 必要な黄体ホルモン(プロゲステロン)の 働きが抑制され、妊娠の継続が不可能になり 子宮内膜が剥がれ落ちる 2.中絶薬ミソプロストールを内服 子宮の収縮、子宮内容物が体外に排出=“堕胎” |
性行為後制限時間内に服用することで 精子の着床を防ぎ妊娠を回避します |
服用時間 |
妊娠が成立した後(着床後)
※妊娠初期に限る |
妊娠が成立する前(着床前)
※72時間~120時間以内 |
価格 | 日本で入手・処方することは出来ません |
10,000円前後~20,000弱
※専門医によって診察料や薬剤(ジェネリック)の 金額が異なります。 |
副作用 |
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市販化 |
政界で議論はされているものの 現在では市販化の予定はありません |
2017年から厚生労働省の検討会で市販化に 関する討論が行われてきていますが 医師会が反対を表明していることから 見送られている |
成功率 |
ある治験の全体でおよそ8%の 失敗率が報告されています |
制限時間内に正しく服用すれば 99%の成功率が見込める |
服用 不可能 |
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危険性 |
中絶薬のリスクとして 第一に腟からの出血が挙げられます これが大量出血だった場合 外科的処置を施さなければなりません つまり中絶薬の服用は危険な状態になる ことが想定されています さらに、大量出血が原因で意識を失い 命を落とす危険性も見込まれる |
アフターピルへの危険性は特にありませんが、 併用禁忌薬があります プリミドン、カルバマゼピン) (セント・ジョーンズ・ワート)含有食品 |
中絶薬よりアフターピルで迅速な対応を
妊娠を避けたい場合は、等クリニックではアフターピルを使用することを推奨します。
アフターピルは「中絶」という形ではなく、「避妊」として妊娠を防止することができます。
人工妊娠中絶手術は、身体的・精神的にも負担が大きいです。それだけではなく妊娠22週目を経過すれば、法律上手術は不可能になります。
悲しい結果や自身の体への大きな傷を作らないために、一度不安な場合はすぐにご相談ください。
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