C型肝炎とは
【症状・原因・治療法について】

C型肝炎とは

C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで引き起こされる肝臓の病気です。

こんな方はC型肝炎検査をおすすめ!

女性医師

自覚症状がない方でもC型肝炎の検査が実施できます。以下に当てはまる方々はC型肝炎のオンライン検査をお勧めします。

  • HIV感染者
  • 注射薬の使用者
  • 安全基準が設けられていない頃に血液製剤を投与された方(主に高齢者)
  • 十分な衛生管理を行っていない施設で医療処置を受けた方
  • C型肝炎に感染したパートナーまたは性行為をする相手が複数いる方
  • 入れ墨(タトゥー)やピアスをしたことがある方

B型とC型肝炎の特徴の違い

感染経路はB型肝炎と同様の血液や体液からですが、C型肝炎は性交渉や母子感染の確率は比較的低いことが特徴として挙げられます。
C型肝炎を発症すると約70%の人が持続感染者になり、病気が進行するリスクがたかまります。
日本国内では約100万人いると推定されていますが、中には感染に気づいていない人や、感染を認知していても適切な医療を受けていない人が多くいるとされています。

C型肝炎の症状

C型肝炎の症状は、男性と女性で違いはありません。個人によって差異があります。

C型肝炎ウイルスに感染したら
潜伏期間 2週間~6ヶ月
約80%の方 無症状(不顕性感染)
約20%の方 急性肝炎となり急性症状があらわれる
軽い食欲不振・倦怠感 ・黄疸(体が黄色くなる症状)
急性肝炎のうち割合 時間が経過すると
約15~45% 感染後6ヶ月以内に自然治癒
約55~85% 急性から慢性肝炎へと進行

無症状期間を経て、肝硬変や肝臓がんに進行する可能性があります。そのため重症化させないように、早期に感染を把握し、適切な治療を受けることが大切です。

C型慢性肝炎について

C型肝炎ウイルスに感染し、C型肝炎を発症・6ヶ月以上長期に持続している肝臓の炎症をC型慢性肝炎といいます。
C型慢性肝炎となってもその段階では多くの人が自覚症状が見られません。最初の症状として倦怠感・食欲不振・全身疲労・腹部不快感が挙げられますが、これらは肝硬変やその合併症に進行している時点であらわれるというのが多いです。
気が付かないまま30~40%もの方が20年ほど経過し、C型慢性肝炎から肝硬変に進行します。
C型肝硬変では、浮腫・腹水・出血が止まりにくくなるといった症状があらわれる場合があります。

女性医師

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることもありますが、肝硬変・肝がんへと進行していても最初は自覚症状がないことが多く、発覚したときには既に悪化しているという場合も少なくありません。

C型肝炎の感染原因

C型肝炎ウイルスは感染者の血液・膣分泌液・精液などに存在します。これらの血液や体液が原因でC型肝炎に感染します

C型感染の主な原因
主な感染経路 • 注射器具の使いまわし(覚せい剤や麻薬等)
• 感染者との歯ブラシやカミソリなどの出血が伴う物の共有
• 入れ墨やピアスを空ける器具(不衛生な状態)
• 長期間の血液透析
確率の低い経路 • 性交渉
• 母子感染
近年はまれな経路 • 輸血、血液製剤(安全基準が定められたため)

C型肝炎の感染者の大部分は高齢者で、感染の主な原因は過去の輸血、注射、およびC型肝炎ウイルスに汚染された血液製剤によるものです

現代における感染経路は汚染された注射器具の使いまわし、適切な消毒がされていない器具での入れ墨やピアスあけが原因とされており、性交渉や出産を介した感染のリスクは少ないです。
しかしアナルセックスや生理中の性行為など、出血や粘膜の損傷が伴う場合には感染の危険性が高まります。

こんなことでは感染しない!

  • C型肝炎は母乳、食事、水、キスなどを介して感染することはありません
  • 血液や体液を介さない一般的な日常生活であれば問題ないです。
  • また現在使われる血液は安全基準をクリアしているため、輸血や血液製剤の使用での感染もほとんどありません。

C型肝炎の治療法

慢性肝炎と急性肝炎で治療法が異なります。

C型急性肝炎の治療

感染者のおよそ4分の1は症状が自然治癒します。症状が軽度であれば特別な治療や抗ウイルス薬は用いないことが一般的です。
一部、症状が重症である場合は医師の診断の元、適切な抗ウイルス薬での治療や、肝臓での炎症を抑制といった治療を行います。

女性医師

C型肝炎を発症した場合、さらに肝臓の炎症が悪化しないように治癒するまで禁酒を推奨されます。
その他、特定の食べ物を避けるといった必要はございません。

C型慢性肝炎の治療

C型肝炎ウイルスを根本的に体内から無くしていくという治療になります。
基本は抗ウイルス薬を用いて、肝臓での症状進行を止めます。
その他の病気との兼ね合いで、抗ウイルス療法が受けられない場合は、肝庇護療法を行い肝臓の炎症を緩和させます。

C型肝炎の感染予防・対策

感染予防には主に以下の方法が挙げられます。 WHO(世界保健機関)が提案する感染拡大を防ぐための手段をご紹介します。

一次予防(感染対策)

注射器具での麻薬や覚せい剤、医療機関、性行為によるC型肝炎ウイルスの接触を避けることが最も重要です。

  • 医療機関にて衛生管理の徹底
  • 献血者の検査
  • 注射器具などの医療器具の正しい取扱いと廃棄物の処分
  • コンドームの正しい使用
  • 出血が伴う恐れのある物の共有を避ける

    (カミソリ、歯ブラシなど)

C型肝炎にはワクチンが存在しない?

現在C型肝炎に有効なワクチンはありません。
そのため、上記で挙げたような根本的な原因となる血液や体液に触れないということが最も有効な予防となります。

二次、三次予防(感染拡大対策)

C型肝炎ウイルスに感染した際の感染拡大と進行への対策は以下になります。

  • C型以外の肝炎ウイルスワクチンの接種で、重複感染を防ぐ
  • 抗ウイルス治療
  • 肝炎進行を防ぐために定期的な検査と受診

C型肝炎の再発・再感染

C型肝炎を抗ウイルス薬で治療すると、ほとんど100%のウイルスを排除できるとされています。
しかし一度感染したウイルスと、タイプの違うC型肝炎ウイルスに感染すると再発するというデータがあるため、治療してもアフターフォローと感染予防が大切です。

C型肝炎を放置すると

C型肝炎ウイルスに感染すると、急性肝炎が起きますが、多くの方が症状が出ないままウイルスが排出され、感染に気が付かず自然治癒することがあります。
しかしC型肝炎は慢性化しやすく、約70%の方は急性肝炎の後もウイルスを排出できず、慢性肝炎と進行してしまうことがあります。

肝がんの原因はC型肝炎!?

  • この慢性肝炎を放置していると30~40%の方が、肝硬変へと進行する可能性があります。
  • 病状進行は20~30年ほど時間がかかり、気が付いたころには深刻な状態になっている場合も少なくありません。
  • さらに肝硬変は放置すると肝細胞がんへと変化し、肝がんの危険性が高まります。
  • 現在の肝がんを患っている方のうち約60%がC型肝炎ウイルスが原因とされています。

C型肝炎に関するよくある質問

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家族間での物の共有や学校などの集団生活でC型肝炎の感染リスクはありますか?

A

集団生活の場でC型肝炎が移ることはほとんどありません。
また家族間においても通常の生活の上ではC型肝炎の感染はまれとされています。
しかし、カミソリや歯ブラシなど何らかの場面で血液や体液が付着してしまうような物の共有や体液の接触は感染リスクが高まるため避けましょう。

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C型肝炎はどのタイミングで検査するのが良いですか?

A

即日検査の場合、感染機会から3か月以上経過してからできます。
精密検査の場合、感染機会から24日以上経過していればウイルスの検出が可能です。

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C型肝炎が陽性だったのですが、飲酒していいですか?

A

禁酒を推奨しています。
アルコールの摂取は肝臓の機能を悪化させ、症状の進行を加速させることがあります。
特に肝硬変の段階では、アルコールが肝臓がんのリスクを高める恐れがあるため、陽性と判断された方は飲酒をしないようにするのが好ましいです。

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輸血でC型肝炎にかかりますか?

A

現在は輸血(血液製剤含む)でのC型肝炎感染はほとんどありません。厳重な検査を通ったものが医療現場にて使用されます。
平成4年以前はウイルスの検査方法が確立されていなかったため、現在より輸血によるC型肝炎の感染率が高いと言えます。

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C型肝炎に自覚症状はありますか?

A

C型急性肝炎を発症すると倦怠感・吐き気・黄疸があらわれることがあります。
しかし、C型肝炎ウイルスに感染しても、無症状であることが多々あります。
知らぬ間に慢性肝炎となり肝硬変などに進行する危険性もあるため注意が必要です。

引用・参考元