女性特有の下腹部痛の原因とは?子宮に関する症状について【PMS月経前症候群】

PMS(月経前症候群)での下腹部痛とは

下腹部が月経前に痛むという症状がPMSの一つとしてありますが、下腹部には様々な臓器があります。
しかし女性特有の痛みは主に子宮内膜症、子宮腺筋症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群の4つに分けられます。
特に子宮内膜症に関しては様々な要因が考えられ、いくつもの症状があります。

子宮内膜症

子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)とは腹膜、卵巣、卵管、腸など子宮内膜に似た組織が、子宮の内腔以外の場所にできてしまう病気です。
子宮内膜症の場合、女性ホルモンの影響で増殖が行われ月経(生理)時に出血が起こりますが、その出血した血液が月経のように外に出されず、そのまま体内に溜まってしまい、その血液が周囲の組織に炎症を引き起こします。

“卵巣チョコレート嚢胞(のうほう)”と言われる状態があり、卵巣の中に子宮内膜症ができてしまい体外に排出されない血液が溜まる状態を指します。
この卵巣チョコレート嚢胞のできる頻度はさほど多い物ではありませんが、卵巣チョコレート嚢胞は『卵巣がん』を発がんさせる可能性があります。

発生率は10%程度ですが、その発生年齢の中で、20代~40代と若い世代で多くみられるようです。

主な症状

  • 月経(生理)痛がひどくなる
  • 性交時や排便時に痛みが伴う
  • 月経以外でも下腹部の痛みや腰痛がでる
  • なかなか妊娠しない

子宮内膜症が出た箇所からプロスタグランジンが分泌されることで月経痛が強く出ます。 月経時以外でも、性交時、排便時、下腹部痛や腰痛などの痛みがでます。
また、卵巣チョコレート嚢胞の影響により排卵障害、プロスタグランジンが卵管に癒着することで不妊になることなども挙げられます。

子宮内膜症に見られる7つの症状

排卵痛について

排卵期に1、2日腹痛を起こすことを”排卵痛”と言います。
これは通常の方でも起こり得る症状ですが、子宮内膜症があると通常よりも痛みが強くなります。
個人差がありますが、症状が強く出過ぎてしまう人は鎮痛剤が無いと過ごせないことや、人によっては痛みのあまり倒れてしまう人がいます。
強い排卵痛は子宮内膜症を疑い、専門医へ相談しましょう。

月経(生理)痛について

子宮内膜症を患った状態の月経(生理)は通常よりも強い痛みが伴います。 ピルや鎮痛剤ではコントロールしきれない人もいます。
月経痛は20代で始まり、加齢とともに月経痛は強くなります。 放って置くと生活にも支障をきたす可能性があるので早めの対処を行うため、専門医への相談を優先しましょう。

下腹部痛(月経痛以外)について

排卵痛や月経痛以外に月経前に下腹部の痛みを感じることがあります。 この場合、PMSの可能性も十分に考えられます。
消化器系に異常はないか?子宮内膜症ではないかなど詳しく調べるため、一度内科を受診してみるのが良いでしょう。

性交痛について

子宮後方~直腸前面のダグラス窩(直腸と子宮を上から覆っている腹膜が臓器の間のすき間に入りこんでできる深いくぼみ)に内膜症ができると性交痛が起きます。 膣から奥が痛いと感じるのが特徴です。 体位によって、痛みを感じる場合と感じない場合があります。 しかしこれは、性交痛があった場合に、子宮内膜症の疑いがあるというひとつの目安となるだけです。 決して性交痛がないから子宮内膜症が発生していないというわけではありません。

生理中の下痢・軟便・排便痛について

女性に多い便秘ですが、普段便秘である人が月経(生理)時に軟便や下痢になる人は子宮内膜症を疑いましょう。

過多月経について

過多月経(生理中の出血量が増加)は子宮内膜症で最も多くみられる症状のひとつです。
過多月経=子宮内膜症というわけではありませんが、一つの目安としましょう。

不妊症について

子宮内膜症がある人のうち、2人に1人の割合で不妊症が発症するという、高い発生率となってます。 さらに、不妊症を発生した人のうち20%ほどが”内膜症”を合併しており、決して少なくない数字で合併症が発症しています。
子宮内膜症は不妊原因の中で、最もポピュラーで重大な要因なのです。

子宮腺筋症

子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)は子宮内膜症、同様に子宮内膜に似た組織が筋層内にできる病気です。
筋層内に子宮内膜に覆われることで壁が厚くなり子宮が大きくなりますが、良性の病気です。 子宮内膜なのでやはり、こちらも女性ホルモンの影響により増殖、進行します。
子宮腺筋症は30代~40代に多く見られますが、近年では、20代の女性にもみられるようになった病気です。

主な症状

  • 月経(生理)痛が強くでる
  • 月経痛が日に日にひどくなる
  • 月経時の出血量が多くなる
  • 貧血症状がでる

強い月経痛や月経量の増加、⽉経期間が通常よりも長くなる、過多月経や月経量の増加により貧血症状が起こすのが子宮腺筋症の特徴です。

子宮筋腫

子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)とは30代~40代の性成熟期にみられる子宮に良性の腫瘍ができる病気です。 良性の腫瘍であり、悪性の腫瘍ではありません。
この子宮筋腫は1ヶ所ではなく複数の箇所にできることがあります。 そして、それぞれに特徴と症状がみられます。

子宮内の箇所それぞれの特徴

漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)

子宮筋腫の10%~20%がこの漿膜下筋腫です。 自覚症状がないため少々厄介な筋腫です。

粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)

子宮の内腔に突出するようにコブがでます。
筋腫が小さいものでも月経量が多くなり、その影響で貧血になる症状が出やすいタイプです。 発生率は低い筋腫です。

筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)

子宮筋腫で最も多く発生するタイプの筋腫です。 全体の発生率の70%を占めます。
大きくなると子宮内腔につき出てくるため、過多月経で月経量が増加することがあります。

主な症状

  • 貧血症状がでる
  • 頻尿・便秘・腰痛がある
  • 月経量が多く、時に出血が塊状で出る場合がある
  • 月経が長期になり1週間以上続く
  • なかなか妊娠しない

「粘膜下筋腫」や「筋層内筋腫」などは筋腫ができたことで、内腔の面積が広がり月経量が増加する傾向にあります。 月経量が増加するため、貧血を起こしやすくなります。
動悸、息切れ、めまいといった症状もでます。
筋腫ができたことで回りの臓器を圧迫することで、頻尿・便秘・腰痛なども引き起こします。 さらには、内腔が変形することで、不妊や知流産の原因にも繋がります。

多嚢胞性卵巣症候群

多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)・英名PCOS(PolyCystic Ovarian Syndrome)とは卵巣で通常より男性ホルモンが分泌されてしまい、女性ホルモンのバランスが崩れて卵胞の成熟に時間が掛かってしまい排卵が行われにくくなる病気です。
月経周期が長くなったり、周期が崩れたりといった月経異常が発生します。
20代〜45歳の5%〜8%の女性にみられます。

主な症状

  • 月経異常(月経周期の延び、不規則な周期)
  • 排卵障害による妊娠困難
  • 全身の男性化(ニキビ、毛深くなるなど)

長期間ほっておいて、治療せずにいると子宮体がんやメタボリックシンドローム、糖尿病などのリスクが高くなる危険性があります。

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