緊急避妊法の種類と比較
日本におけるアフターピルの現況・海外との違い

緊急避妊法

そもそも緊急避妊とは?

緊急避妊法(Emergency Contraception、略してEC)は、通常の避妊手段が失敗してしまった場合や、レイプされた場合などに、望まない妊娠を回避する手段です。
ただし、避妊失敗後に既に妊娠が成立してしまっている場合には、緊急避妊法は効果がありません。

緊急避妊を行う前に知っておくこと

これらの緊急避妊法は下記の項目を配慮・注意した上で使用されます。

  • 無防備な性交後、緊急時に避難的に使用すること
  • 緊急避難法で使用する薬剤や器具に関して起こりうる副作用や留意点を把握すること
  • 基本的に最終手段の避妊法であり、頻繁に行うものではないこと
  • HIVやエイズなどを含む性感染症に対しての予防効果があるものではないこと

緊急避妊の背景

日本の避妊に関する統計・データ

避妊成功率の比較

正しい使用での避妊成功率
正しい使用での避妊成功率(100人での統計)

上記のグラフは【正しい避妊法】を行った場合の避妊成功率を表しています。
コンドームは正しく使用することで避妊率はもちろん上がりますが、それでも2%もの人が避妊に失敗してしまう可能性があります。

一般的な使用方法での避妊成功/失敗人数
一般的な使用での避妊成功人数(100人での統計)と10人当たりの避妊失敗人数

上記の図は【一般的な使用】で10人あたり何人が妊娠してしまうか・右の人数が100人中避妊に成功した人数です。
実際には正しく低用量ピルやコンドームを使用できているか判断が難しい部分でもあります。 ピルであれば飲み忘れ・服用タイミングがずれるなど・コンドームでは着脱時や行為時の破損や誤った付け方などが考えられます。
日本で主流であるコンドームは100人中およそ18人もの割合で避妊に失敗しています。一般的な使用の仕方では理想より大きく避妊率が下がってしまうことが分かります。

計画的に避妊したとしても避妊に失敗してしまう可能性は誰しも持っています。
そのため「最終手段」として緊急避妊法は有効なものとして考えられています。

緊急避妊を行う理由

下記のグラフは緊急避妊での受診希望理由を集計したデータです。

もちろんレイプ・性暴力による理由もありますが、データから見える通りコンドームの使用を誤ってしまったり、破損することで心配になり緊急避妊を行うケースが多くの割合を占めているというのが分かります。 コンドームや膣外射精が避妊方法として主流の日本では、緊急避妊を行う背景として「正しく避妊が行えなかった」というのが大きいです。

緊急避妊の種類

緊急避妊法アフターピルや緊急避妊薬と呼ばれる女性用緊急ピルを服用する方法と、ヤッペ法、銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD)を使用するといった方法があります。
現時点で最も一般的な方法とされるのが緊急避妊薬・アフターピルです。

避妊薬を用いた方法

アフターピル(緊急避妊薬)

  • 無防備な性交から、成分有効時間以内に1錠服用することで避妊効果を発揮
  • 性交後24時間が最も有効的であり、時間とともに妊娠阻止率が低下していく
  • レボノルゲストレル/72時間以内・ウリプリスタール酢酸エステル/120時間以内の2種類
アフターピル記事

レボノルゲストレル(ノルレボ)の作用・効果

アフターピル記事

120時間タイプの緊急避妊薬(エラワン)とは?

ヤッペ法

  • 性交後72時間以内に中用量ピルを2回服用することで避妊効果を発揮
  • 日本では1970年代から一般的に使用されていた方法
  • しかしアフターピルに比べ副作用が出やすく、妊娠阻止率が劣るため現在では他の緊急避妊法が使えない場合のみ適応される

また、中用量ピルは「ヤッペ法」という緊急避妊薬として使用されているピルです。
アフターピルと比較して、実用性や特徴をこちらの記事で詳しく解説しています。

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ヤッペ法~その実用性とは~

避妊器具を用いた方法

銅付加子宮内避妊具(Cu-IUD)

  • 子宮内避妊具の一種で無防備な性交から、120時間以内に装着
  • 銅イオンを放出する器具が、精子と卵子の受精を阻害することで避妊効果を発揮

※銅付加IUDとも呼ばれる。

緊急避妊以外の避妊方法について

上記で解説した銅付加IUDという避妊具を用いた方法は、緊急避妊以外でも適用されます。
一般的には緊急避妊は高頻度で行うものではありません。
日常的な避妊方法コンドームの使用、低用量ピルなどに関しては正しい使用方法で扱えば避妊率は上がります。
各種避妊方法のメリット、デメリット詳細は下記をご覧ください。

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各避妊方法の特徴/メリット・デメリット

あなたに合った緊急避妊法を

現時点で最も一般的な緊急避妊方法とされるのが緊急避妊薬・アフターピルです。
しかし薬剤を使用するため少なからず体への負担があり、副作用や併用禁忌・注意薬などが存在します。
日本で行うことができる緊急避妊法のメリット・デメリット・適否・費用などを把握して皆様に合った方法を考えてみましょう。

緊急避妊法の特徴比較

アフターピル ヤッペ法 銅付加IUD
費用 ¥6,000~¥20,000
※72時間タイプ
詳細はコチラ
¥3,000~¥8,000 ¥33,000~¥8,000
※装着する、交換する、抜去など含め
特徴 ●無防備な性交から服用が早ければ早いほど避妊効果が高い
・現在では緊急避妊法の中で最も一般的
●アフターピルと比較すると避妊率が低く、副作用の発現率が高い
・現在ではアフターピルなど他の避妊法が適用できない場合のみ使用されることが多い
●ピルで起きることがある副作用など全身への負担が少ない
・挿入時障害として挙げられるのが、出血や下腹痛
手間 近年は入手方法が増え、手軽さが増している↓
・病院・クリニックでの対面処方
・オンライン処方
・個人輸入代行の使用
1970年代からの一般的な日本での避妊方法のため、比較的手軽 ・医師の診察が必須
・正しい着用ができているか定期的な診察が必要になる
一度の挿入で数年間避妊効果が続く
適否 ・薬剤のため併用禁忌/注意薬がある
・妊娠中、授乳中は服用できない
・器具を使用しないため未成年でも未分娩者でも適用可能
・薬剤のため併用禁忌/注意薬がある
・妊娠中、授乳中は服用できない
・器具を使用しないため未成年でも未分娩者でも適用可能
▼向いている人
・性交パートナーが一人に限定されている
・子宮にトラブルを持っていない
・分娩経験がある
▼向いていない人
・分娩経験がない
・複数人性交パートナーがいる
・子宮にトラブルを持っている

あまり知られていませんが、出産の経験がある方や、今後長期間避妊したいという方は全身への負担が少ないとされている器具を用いた避妊方法があります。
緊急避妊は時間が重要のため事前に知識として頭に入れておいて、迅速に対応していくのが重要です。

当サイトではアフターピル処方を推奨

前川クリニックではLINEを利用したアフターピル処方・オンライン診療を推奨しております。
特にアフターピルによる緊急避妊は少しでも早い処置が一番大切です。
前川クリニック公式LINEアカウントを友だち登録後、最短5分~LINEで診察~郵送処方まで完結致します。24時間365日年中無休で医師が対応するため、年末年始などの連休や、深夜早朝の時間帯でも、診察からアフターフォローまで万全です。

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前川クリニックのオンライン診療

法律と緊急避妊薬との関係

緊急避妊法の一般的な1種である緊急避妊薬の販売において、医師の処方箋が必要となってしまっているのが大きなハードルの一つです。
また処方機会が日本では少ないというのもあり、アフターピルを含む避妊ピルに関して詳しい知識を有する医師や薬剤師が多くありません。
法律上、承認されていない薬は国内販売されないため必然的に入手が困難になります。

海外と日本の違い

下記の表は緊急避妊薬に対する日本・イギリス・ドイツ・フィンランド・アメリカ5か国の特徴を簡単に比較しています。

日本 イギリス ドイツ フィンランド アメリカ
承認 レボノルゲストレル(ノルレボ)のみ レボノルゲストレル(ノルレボ)
ウリプリスタル酢酸エステル(エラ)の2種
入手価格 平均15,000円程度 約6,000円以下
※処方箋、OTC含む
販売体形 処方箋が必要 処方箋なしで販売 OTC医薬品に該当
性犯罪への対応 警視庁が産婦人科などの紹介(協力医療機関制度)
詳しくはコチラ
薬剤師が対応すべき手順 と被害者への緊急避妊薬の提供

世界平均と日本の避妊法と割合

下のグラフは各避妊方法の日本と世界平均の割合を表したものです。
その他には、カラーで書かれている避妊方法のほかにリズム法やインプラントなどが含まれています。
日本で最も多くの割合を占めているのが【コンドーム】 次に多いのが【膣外射精】とされています。
世界平均で最も多くの割合を占めているのが【ピル】 その次に多いのが【コンドーム】若干の差をつけて【不妊手術】となっています。

避妊法の割合・日本と世界平均
世界平均と日本の避妊法と割合

このデータからは、コンドームが占める割合がほとんど・不妊手術や避妊器具、ピルを用いた方法が"一般的ではない"のが日本ということが分かります。
一方、世界的に見ると、ピルが最も一般的な方法であり、IUDや不妊手術、注射剤はコンドームとおよそ同じくらいの割合で行われています。

このことから、日本ではピルを使って避妊することについての認識や知識が圧倒的に少ないため、コンドームや膣外射精が失敗した場合にパニックに陥ることがあります。
そこで、事前に「避妊」について学び、緊急避妊の手段についても知識として持っていることが重要になってきます。