バイアグラを処方されたあと、普段飲んでいるサプリメントや漢方薬は一緒に飲んでも大丈夫?と疑問に思う方は少なくありません。
サプリメントや漢方薬は自然由来だから安全と考えられがちですが、医薬品との組み合わせによっては作用が強まったり、副作用が出やすくなったりする可能性があります。
一方ですべてのサプリや漢方がバイアグラと相性が悪いわけではありません。組み合わせによっては問題なく服用できるものもあります。
この記事では、バイアグラとサプリメント・漢方薬の飲み合わせについて、注意が必要な成分、安全に併用できるケース、服用時のポイントをわかりやすく解説します。
バイアグラの基本情報と飲み合わせが重要な理由
バイアグラとサプリ・漢方の飲み合わせを理解するには、まずバイアグラがどのように体内で働くかを知ることが大切です。飲み合わせの問題が起きるメカニズムを把握しておくと日常的に摂取しているものとの相互作用をより適切に判断できます。
バイアグラ(シルデナフィル)が効く仕組み
バイアグラの有効成分はシルデナフィルです。シルデナフィルはPDE5(ホスホジエステラーゼ5型)という酵素を阻害することで、性的刺激によって放出される一酸化窒素(NO)の作用を高め、陰茎の平滑筋を弛緩させ血流を増加させます。この血流増加によって勃起が起きやすくなる仕組みです。
重要なポイントとして、シルデナフィルは主に肝臓のCYP3A4(CYP2C9も一部関与)という酵素によって代謝されます。この酵素の働きを変化させる食品・サプリ・漢方薬を同時に摂取すると、一部の成分では血中濃度が上がりすぎたり下がりすぎたりする可能性があります。
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PMDAが公開している添付文書でも、CYP3A4阻害薬・誘導薬をはじめとする併用注意薬や硝酸薬などの併用禁忌薬が記載されています。
相互作用が起きる主な原因
バイアグラの飲み合わせで注意が必要な理由は、大きく分けて2つあります。

1つ目は、薬物代謝酵素(主にCYP3A4)への影響です。CYP3A4の働きが阻害されるとシルデナフィルが体内に長く残り副作用が起こりやすくなる可能性があります。逆にCYP3A4の働きが強まると薬が早く分解され、十分な効果が得られないことがあります。
2つ目は、薬理作用が重なることです。例えば、血圧を下げる作用をもつ成分をバイアグラと併用すると、血圧が下がりすぎるリスクが高まる可能性があります。
天然由来だから安全・漢方やサプリメントなら薬との飲み合わせを気にしなくてよい、というわけではありません。一部の植物由来成分や生薬には薬物代謝や薬の作用に影響を与えるものが報告されており、服用中のサプリメントや漢方薬についても事前に確認することが大切です。
バイアグラと注意が必要なサプリメント
市販のサプリメントの中にはバイアグラ(シルデナフィル)との飲み合わせに注意が必要なものがあります。なかには薬の血中濃度に影響を与えるものや、血圧低下作用が強まる可能性があるものも報告されています。
ここでは、バイアグラとの併用で注意したい代表的なサプリメントについて解説します。
グレープフルーツ関連サプリ・ジュース
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は、小腸(腸管)のCYP3A4という薬物代謝酵素の働きを阻害します。その結果シルデナフィルの分解が抑えられ、血中濃度が通常より高くなる可能性があります。これにより血圧低下や頭痛、顔面紅潮などの副作用が現れやすくなるおそれがあります。
グレープフルーツそのものだけでなく、グレープフルーツエキスを含むサプリメントも同様の影響を持つとされています。バイアグラを服用する際はグレープフルーツ由来の製品全般を避けることが望ましいとされています。
セントジョーンズワート(西洋オトギリソウ)
セントジョーンズワートは、不安や軽度の抑うつ症状の改善を目的として利用されることがあるハーブ系サプリメントです。この成分はCYP3A4を誘導する作用が知られており、シルデナフィルの代謝が促進されることで血中濃度が低下し十分な効果が得られなくなる可能性があります。
EMA(欧州医薬品庁)のEUハーブモノグラフでも、セントジョーンズワートは多くの医薬品と相互作用を起こす可能性があるとして注意喚起されています。バイアグラの効果が十分に得られなくなる可能性があるため、併用には注意が必要です。
下記の情報を参考に記述しています。
L-アルギニン・L-シトルリンなどNO系サプリメント
L-アルギニンやL-シトルリンは、血流や運動パフォーマンス、性機能のサポートを目的としたサプリメントとして利用されており、体内で血管を広げる働きをもつ一酸化窒素(NO)の産生を促す成分です。L-シトルリンも体内でL-アルギニンに変換されることでNOの産生を高める働きがあります。
一方、バイアグラ(シルデナフィル)もNOの働きを増強して血管を拡張し、勃起を促す薬です。
作用機序の重なりを考えると、血圧低下作用が強まる可能性が考えられます。ただし、現時点ではL-アルギニンやL-シトルリンとシルデナフィルの併用による重大な相互作用を示す十分な臨床研究は限られています。
立ちくらみやめまいなどの症状が現れた場合は服用を中止し、医師へ相談してください。また、自己判断で高用量のサプリメントを併用することは避けましょう。
高麗人参(紅参・ジンセン)
高麗人参は、滋養強壮や疲労感の軽減を目的としたサプリメントとして利用されています。
一部の研究では、高麗人参に含まれる成分が薬物代謝酵素や血管機能に影響を与える可能性が示唆されていますが、シルデナフィルとの臨床的に明確な相互作用は十分には確認されていません。
そのため重大な飲み合わせが報告されているわけではありません。現時点では臨床的なエビデンスは限られています。
イチョウ葉(Ginkgo biloba)
イチョウ葉は、記憶力や集中力の維持、血流の改善などを目的としたサプリメントとして利用されています。
現時点では、イチョウ葉とバイアグラ(シルデナフィル)との重大な相互作用は明確には確認されていません。一方で、イチョウ葉には血小板の働きを抑える可能性が報告されており抗凝固薬や抗血小板薬との併用では出血リスクに注意が必要とされています。
バイアグラとの併用で重大な問題が起こることを示す十分な臨床エビデンスはありませんが、他の薬を服用している場合は注意が必要です。

現時点ではイチョウ葉とバイアグラとの重大な相互作用を示す十分な臨床エビデンスはありません。ただし、複数のサプリメントや医薬品を併用している場合は、個々の成分について医師や薬剤師へ相談しましょう。
バイアグラと漢方薬の飲み合わせ
漢方薬は複数の生薬を組み合わせて作られており、配合される成分や製剤によって作用が異なります。そのため医薬品との相互作用を一律に判断することはできません。
現時点では、バイアグラ(シルデナフィル)と漢方薬との重大な相互作用を示す報告は多くありませんが、一部の生薬には血圧や心拍数に影響を与える可能性があるものもあります。ここでは服用時に知っておきたい代表的な生薬や漢方薬を紹介します。
甘草(カンゾウ)
甘草は多くの漢方薬に配合されている代表的な生薬です。
長期間または大量に摂取すると、偽アルドステロン症を起こし、高血圧やむくみ、低カリウム血症などを引き起こすことがあります。
バイアグラとの直接的な相互作用は報告されていませんが、血圧や循環器系に影響を及ぼす可能性があるため、甘草を含む漢方薬を継続して服用している場合は注意が必要です。
附子(ブシ)
附子は冷えや痛みなどに用いられる漢方薬に配合される生薬です。
附子に含まれる成分には心拍数や血圧に影響を及ぼす可能性があることが知られており、適切な使用が重要とされています。
バイアグラとの明確な相互作用は確認されていませんが、心血管系に疾患がある方では服用している薬との組み合わせを確認することが望ましいでしょう。
麻黄(マオウ)
麻黄は葛根湯や小青竜湯などに含まれる生薬です。
麻黄に含まれるエフェドリン類には交感神経を刺激する作用があり、心拍数や血圧が上昇することがあります。
バイアグラとの重大な相互作用は報告されていませんが、循環器疾患のある方や血圧の変動が気になる方は注意が必要です。
八味地黄丸・六味丸などの補腎系漢方薬
八味地黄丸や六味丸は、加齢に伴う排尿症状や冷え、疲れやすさなどの改善を目的として使用される代表的な漢方薬です。
現時点では、これらの漢方薬とバイアグラとの重大な相互作用は報告されておらず、薬物代謝酵素(CYP3A4)への明確な影響も確認されていません。

漢方薬は複数の生薬を組み合わせた製剤であり、メーカーによって配合や含有量が異なる場合があります。
現在服用しているサプリメントや漢方薬がある場合や、新たに取り入れたい場合は自己判断せず事前に医師や薬剤師へ相談することをおすすめします。
漢方薬服用中の受診のポイント
バイアグラを処方してもらう際は、現在服用している漢方薬・サプリメント・市販薬をあらかじめ医師へ伝えましょう。自己判断せず、製品名やお薬手帳を提示すると、飲み合わせの確認がスムーズになります。
オンライン診療でも同様に、問診票や診察時に現在服用している製品をできるだけ詳しく伝えることが、安全な治療につながります。
バイアグラ服用時に注意すべき組み合わせ
バイアグラ服用時にはサプリメントや漢方薬ではなく、絶対に併用してはいけない医薬品があります。
特に、硝酸薬(ニトログリセリン・硝酸イソソルビドなど)との併用は禁忌とされており、α1遮断薬などは併用注意薬に該当するため服用の仕方などに配慮が必要です。
安全にバイアグラを使用するためにも、現在服用している処方薬・市販薬・サプリメント・漢方薬は、必ず医師または薬剤師へ申告しましょう。
併用禁忌薬・併用注意薬について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
海外製サプリメントには注意
海外製のサプリメントの中には、日本では医薬品成分として扱われている成分が含まれていることがあります。
例えば、ヨヒンビンはアフリカ原産の植物・ヨヒンベの樹皮に含まれるアルカロイドで、一部の国では勃起不全の治療などを目的とした医薬品成分として使用されることがあります。日本では医薬品成分に分類されており、一般的なサプリメントとして流通することは認められていません。
ヨヒンビンには血圧や心拍数に影響を及ぼす可能性があり、動悸や血圧上昇、不安感などの副作用が報告されています。そのため、自己判断での使用は避けるべき成分の一つです。
また、海外では「天然サプリメント」などとして販売されている製品の中に、シルデナフィルやタダラフィルなどのPDE5阻害薬が表示なく混入していた事例が国内外で報告されています。これらの製品は品質管理や成分表示が十分でない場合があり、服用によって予期しない副作用や健康被害につながるおそれがあります。
厚生労働省やPMDAでも、個人輸入した健康食品やサプリメントから医薬品成分が検出された事例について注意喚起を行っています。海外製サプリメントを購入する際は、「天然由来だから大丈夫」「サプリメントだから安全」とは考えず、信頼できる製品を選ぶことが重要です。
下記の情報を参考に記述しています。
安全に使うために知っておきたいこと
バイアグラを安全に服用するためには、現在使用しているものを正確に医師へ伝えることが大切です。
処方薬だけでなく
- サプリメント
- 漢方薬
- 市販薬
- ビタミン剤
- 健康食品
- 栄養ドリンク
- プロテイン
なども忘れずに申告しましょう。
健康食品だから、サプリメントだからと省略せず、日頃から使用している製品をリスト化したり、お薬手帳に記録したりしておくと受診時に役立ちます。
服用タイミングと食事の影響
バイアグラは高脂肪食と一緒に服用すると有効成分の吸収が遅れ、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
また、サプリメントの中には食後の服用が推奨されているものもあるため、服用タイミングが重なる場合があります。バイアグラとサプリメントを併用する際は、適切な服用タイミングについて事前に確認しておくと安心です。
副作用が現れた場合は速やかに受診を
バイアグラ服用後に、強い頭痛、視覚異常、動悸、胸痛、著しい血圧低下による立ちくらみや意識障害などが現れた場合は速やかに医療機関を受診してください。
特に胸痛がある場合は、自己判断で硝酸薬(ニトログリセリンなど)を使用してはいけません。救急搬送が必要な場合はバイアグラを服用したことを必ず伝えましょう。
オンライン診療でも問診を正確に
オンライン診療でバイアグラを処方してもらう場合も、対面診療と同様に正確な問診が重要です。
現在服用している薬やサプリメント、漢方薬のほか、心臓病・肝臓病・腎臓病などの既往歴についても、できるだけ詳しく伝えましょう。
症状や既往歴によっては対面診療や検査が必要になる場合もあるため、医師の判断に従って適切な方法で受診することが大切です。
まとめ
バイアグラ(シルデナフィル)とサプリメント・漢方薬の飲み合わせには、注意が必要なケースがあります。
特に、グレープフルーツ関連製品、セントジョーンズワート、L-アルギニン・L-シトルリンは、バイアグラの効果や副作用に影響を及ぼす可能性があります。また、甘草・附子・麻黄などを含む漢方薬は、血圧や心拍数に影響することがあるため注意が必要です。
一方で、硝酸薬との併用は禁忌とされており、絶対に避けなければなりません。
サプリメントや漢方薬は天然由来だから安全とは限りません。現在服用している薬やサプリメント、漢方薬がある場合は、自己判断で併用せず事前に医師または薬剤師へ相談しましょう。
飲み合わせを正しく確認することが、安全で効果的なED治療につながります。
下記の情報を参考に記述しています。
- PMDA くすり情報 一般の方向け バイアグラ錠25mg/バイアグラ錠50mg/バイアグラODフィルム25mg/バイアグラODフィルム50mg
- 海外規制当局が医薬品成分を含有する旨を公表している製品について あやしいヤクブツ連絡ネット
- 医療用医薬品 : バイアグラ KEGG MEDICUS



