
イベルメクチンは寄生虫感染症の治療に使用される医療用医薬品。正しい服用方法を知らずに飲んでしまうと、効果が得られなかったり、副作用のリスクが高まるなどといった可能性があります。
症状ごとの飲み方や服用時の注意点、1回分の服用量について分かりやすく解説いたします。
イベルメクチンの飲み方まとめ
↓クリックして飛べます | この記事のまとめ |
---|---|
先発薬名 | ストロメクトール |
服用方法 |
1回分体重1㎏あたり約200μg(0.2mg)を目安に計算
【腸管糞線虫症】2週間間隔で2回 【疥癬】1回の服用(再度服用する際は1週間の間隔をおいて使用) |
1回あたりの服用量計算 | 計算式:体重(kg) × 0.2 = 必要な㎎数 |
服用時の注意点 |
・空腹時に水での服用が好ましい
・治療効果を確認してから再投与の判断 ・運転や機械操作に注意 |
イベルメクチンの服用方法
イベルメクチンは、「腸管糞線虫症」や「疥癬(かいせん)」の治療に用いられる内服薬です。
どちらの疾患でも体重に応じた適切な量を1回分服用する必要があります。
それぞれの疾患における具体的な用法・用量について詳しく見ていきましょう。
イベルメクチンが使われる症状について
腸管糞線虫症の飲み方
腸管糞線虫症(ふんせんちゅうしょう)とは、糞線虫という寄生虫が小腸に感染する疾患で、日本では特に温暖・湿潤な地域(沖縄など)や高齢者施設での発症が報告されています。

基本の服用方法
- 体重1㎏あたり約200μg(0.2mg)を目安に計算
- 2週間間隔で2回、経口投与
1回目のイベルメクチン服用後、15日目(14日後)に2回目の服用をするのが腸管糞線虫症の基本的な飲み方です。
再投与の必要性について
治療後の糞便検査で虫卵や幼虫が検出される場合、再度の服用を検討します。医療機関での経過観察が重要です。
疥癬の飲み方
疥癬(かいせん)はヒゼンダニという寄生虫によって引き起こされる皮膚疾患で、強い痒みと皮膚の発疹が特徴。 イベルメクチンはヒゼンダニの駆除にも有効です。

基本の服用方法
- 体重1kgあたり約200μg(0.2㎎)を1回服用
- 軽症〜中等症では通常1回で効果が見込まれます
軽い疥癬の治療の場合、1回の服用で症状が改善することがありますが、必要に応じて再度服用する際は1週間の間隔をおいて使用してください。
治療初期にかゆみが強くなる場合があります。これは死滅したヒゼンダニに対する一時的な炎症反応によるもので、多くの場合数日以内に軽快します。症状が強い場合は医師にご相談ください。
重症例(角化型疥癬など)の場合
皮膚の角化が強く、ヒゼンダニの寄生数が多い重症型では、初回投与後1~2週間以内に効果を確認し、必要に応じて2回目の投与を行います。 医師による観察や検鏡での確認が必要です。
体重ごとのイベルメクチン用量
イベルメクチンは国内製のものですと先発薬ストロメクトール、一般的に3mg錠のみの取り扱いです。 以下の表は体重ごとの推奨服用錠数の目安です。
体重(kg) | 推奨錠数(3mg) | 推定用量 |
---|---|---|
15〜24 | 1錠(3mg) | 3㎎~4.8mg |
25〜35 | 2錠(6mg) | 5mg~7mg |
36〜50 | 3錠(9mg) | 7.2㎎~10mg |
51〜65 | 4錠(12mg) | 10.2mg~13mg |
66〜79 | 5錠(15mg) | 13.2mg~15.8mg |
80kg以上 | 約200μg/kgを目安に計算 | 16㎎~ |
3㎎1錠のためピッタリにならない体重の方もいらっしゃるかと思います。そういう場合は上記を目安に錠数を選択しましょう。
1回あたりの服用量を計算しよう
計算式:体重(kg) × 0.2 = 必要な㎎数
1回あたりに服用するイベルメクチンの用量は上記の計算式に当てはめて必要な㎎数を出すことができます。
前川クリニックでは簡単に1回分の㎎数と錠数を出せるので是非ご活用ください。
※錠数は目安です。医師にご相談ください。
イベルメクチン 服用量計算ツール
およそ-錠の服用が目安になります。
※ストロメクトール添付文書の投与量を元に計算を出力しています。実際の服用量は医師の判断に基づいてください。
イベルメクチン服用時の注意点
イベルメクチンを効果的かつ安全に服用するためにはいくつかポイントがあります。 特に食事との関係や、続けて服用するかどうかの判断が重要になってきます。
空腹時に服用が好ましい
イベルメクチンは空腹時に水で服用することが推奨されています。 これはイベルメクチンが脂溶性であり、高脂肪食を摂って服用すると血中濃度が上昇する可能性があるため注意が必要です。
治療効果を確認してから再投与の判断をする
- 腸管糞線虫症の場合
便検査で幼虫が消えていない場合は、再投与を検討します。
- 疥癬の重症型(特に角化型疥癬)の場合
1〜2週間以内に効果を確認し、必要に応じて2回目の服用を行います。
実際保険適用される腸管糞線虫症や疥癬の場合は、処方された薬を服用してから自己判断ではなく医師の診察や検査により再度確認してから再投与を検討します。
服用前に確認すること
イベルメクチンを安全に服用するためには、事前にいくつか確認すべきポイントがあります。特に疥癬治療の場合は適応外となるケースもあるので把握しておきましょう。
疥癬治療の際
・疥癬の確定診断を受けた方、またその方との接触があり症状を呈している方に使用される。
・爪疥癬には効果がないためイベルメクチンは使用しません。
※別の治療が必要になります。
服用時のポイント
運転や機械操作に注意
稀にめまいや意識障害などの副作用が起こることがあります。服用当日は、自動車の運転や重機操作など注意力が必要な作業は控えましょう。
イベルメクチンを服用できない方、服用する際に注意が必要な方がいます。以下より詳しくご覧ください。
イベルメクチン服用禁忌・注意すべき方
イベルメクチン飲み方でよくある質問
間違えて多く飲んでしまった場合は?
誤って多く飲んでしまった場合、迅速に医療機関にご相談ください。
ヒトが動物用の高用量イベルメクチンを服用した際の副作用として発疹、嘔吐、頭痛などが報告されています。
イベルメクチンを飲みましたが効果がなかなか出ません。
イベルメクチンの効果発現は数日以内ですが、症状改善は1週間程度時間がかかることがあります。
これはイベルメクチンによって寄生虫が死滅しても、死骸や排泄物が皮膚や体内に一時的に残ることで、炎症反応が続くためです。その結果、かゆみや発疹などの症状がすぐには引かないことがあります。
イベルメクチンを飲んでも疥癬のかゆみが強まった気がしたのはなぜ?
疥癬治療においては、服用直後に一時的にかゆみが悪化することがあります。これはヒゼンダニが死ぬ際の反応であったり、体内のアレルギー反応によるものだったりします。

症状が残っていても、再投与は医師の判断のもと行いましょう。
「何となく効いていない」と自己判断して薬を繰り返し服用するのは危険です。
飲み方・使用上の注意事項は次のサイトを参考にしています。
ストロメクトール錠添付文書