早漏とは・射精まで何分?|早漏の主な原因と定義について

早漏とは・射精まで何分?|早漏の主な原因と定義についての記事サムネイル

早漏かもしれない…そのような不安を抱える男性は少なくありません。
実際に何分で射精すると早漏なのか、明確な基準は定められているのでしょうか?
この記事では早漏の定義を医学的な基準を元に、早漏の原因やそれぞれに合った治療法などをご紹介いたいます。

早漏セルフ診断はこちら

早漏とは?

早漏(PE:Premature Ejaculation)とは性行為中に本人の意図より早く射精してしまう状況を指します。

2023年、一般社団法人日本性機能学会により、25年ぶりとなる全国規模の調査が実施されました。対象は日本全国の20歳以上の男性。
その中で「早漏に悩んでいますか?」という質問に対し、23.4%の方が「はい」と回答しており、これは日本人男性の人口に当てはめると約910万人にのぼる計算です。
年代別では、20~39歳の若年層で30%前後と特に高く、それ以降の年代では徐々に割合が減少する傾向が見られました。
このように性行為に関する悩み・早漏というのは相談しづらいテーマではありますが、多くの男性が経験している一般的な問題です。
場合によって性生活の満足度や自信を低下させ、QOL(生活の質)を下げる要因にもなりえます。

早漏の定義

射精まで何分で早漏とされているのでしょうか?
早漏には一般的な明確な定義はありませんが、国際性機能学会(ISSM)は以下の条件を満たす場合を早漏としています。

  • 挿入後1~3分以内に射精が起こる
  • 性行為中に射精を遅らせることができない
  • 性行為に対し、苦痛や不満を感じ、性的な親密さを避けるようになる

一時的なものであれば問題とは限りませんが、上記のような状態が繰り返し見られる場合は、早漏と診断される可能性があります。
この定義は本人だけでなくパートナーにとっても満足できる性交の継続時間が得られないと感じる場合に早漏と判断されるという点が重要です。

早漏のしくみ

早漏の仕組みイメージ図

性的刺激により脳から指令が出されると、精子は「精管」に押し出され、「精管膨大部」へと運ばれます。
その後、「精嚢」や「前立腺」からの分泌液と混じって精液となり、尿道から体外へと放出されます。
早漏は、この射精までにかかる時間が数秒~2分以内と言われています。

対面調査では難しい個人の性に踏み込んだ本音の回答が得られるというインターネット調査の利点を生かし調査を行う『JEX JAPAN SEX SURVEY』というリサーチ会社の2020年の調査によれば、早漏に悩む男性は2,163人の30.2%(653人)、早漏男性のパートナーとなる女性2,247人の6.3%(141人)も男性の早漏に悩んでいるという調査結果があります。
また、『1回の性行為にかける平均時間』では全体男性で31分、全体女性で29.1分と、男女でさほど相違はないようです。

早漏の仕組みイメージ図

『TENGA HEALTH CARE』が行った2017年の※表2 「女性が理想とする挿入時間と実際の挿入時間について」の比較調査によれば、実際の挿入時間の平均は11.2分、理想の挿入時間の平均は9.7分と大差はないものの、早漏男性にとって「10分」という時間は、到底我慢できるものではないでしょう。

男性の『射精』は、脳内のセロトニンが大きく関与しています。

神経細胞間には神経伝達物質を放出する細胞をシナプス前細胞、受容する細胞をシナプス後細胞が存在します。
脳内神経細胞において、シナプス前細胞から放出された神経伝達物質セロトニンは、シナプス後細胞にあるセロトニン受容体に作用し情報が伝わっていきます。

シナプス間隙には、遊離(放出)され受容されないセロトニンが貯まっており、これらセロトニンは、シナプス前細胞のセロトニントランスポ-タ-(SERT)により再取り込みされます。

再取り込みにより、シナプスのセロトニン濃度が低下、セロトニン受容体に作用しにくい状態になってしまい射精がコントロールできず射精までの時間が短縮され早漏となるのです。

ポゼットを用いてセロトニン分泌量を増やし、射精をコントロールします。
シナプス前細胞のセロトニントランスポーターに選択的に作用し、セロトニン再取り込みを阻害することで、作用するセロトニン量を高める効果のある成分になります。
セロトニン濃度の上昇はノルアドレナリン分泌の制御に繋がり、脳の過剰な興奮を抑え、射精をコントロールすることができるわけです。

早漏の分類

主な症状は、セックスだけでなく自慰行為中も起きうるのが早漏です。 早漏は大きく分けて「原発性早漏」と「続発性早漏」で分類されます。

原発性早漏と続発性早漏の違い

原発性早漏(先天性早漏)

性行為の経験が浅い若年期から、挿入直後または挿入前に射精してしまう症状が繰り返されるのが特徴です。

  • 脳内の神経伝達物質(セロトニン)の働きに関する先天的な異常
  • 陰茎感覚の過敏さ
  • 射精を制御する神経系の反応過多

原発性は身体的・神経生理的な要因が関係しているとされており、生まれつきの早漏とも言えます。

続発性早漏(後天性早漏)

以前は射精をある程度コントロールできていたにも関わらず、ある時期を境に突然早漏になってしまうのが特徴です。

  • 加齢に伴う筋力の低下(衰弱性早漏)
  • 性的トラウマやパフォーマンス不安(心因性早漏)
  • 勃起不全(ED)による焦り
  • 前立腺や泌尿器などの疾患
  • 服用中の薬の副作用

続発性は身体的または心理的な変化によって後天的に起きるため、背景にある原因を考え適切に対処する必要があります。

射精のメカニズムとコントロールの関係

早漏の原因や対処法を知るには、射精という現象についてから理解することが近道になることもあります。
射精する過程そのメカニズムと、射精コントロールと年齢・ストレスなどの関係について見ていましょう。

射精のメカニズム

射精は「精液が体の外に出る」というシンプルな現象に見えますが、実際には神経や筋肉、内臓が連携する複雑な仕組みによって起こっています。
この射精の過程は、大きく分けて以下の2つの段階から成り立っています。

1. Emission(射出)

性的興奮が高まると、まず脳からの信号が交感神経を通じて骨盤内の臓器に伝わります。
前立腺部へ精子と分泌液が集められ、射精への準備が進んでいく段階です。

  • 精巣から精子が精管を通って移動
  • 同時に精嚢や前立腺が収縮し、精液の構成成分が分泌
  • 精子とこれらの分泌液が合流し、前立腺部尿道(尿道球部)に集められる
  • この過程で膀胱の出口(膀胱頸部)が閉じることで、精液が膀胱に逆流するのを防ぐ

2. Ejaculation(射精)

続いて、脊髄の射精中枢が反応し、射精反射が起こります。 この反射は陰部神経を介して骨盤底の筋肉に伝わり、以下のような動きが起こります。

  • 球海綿体筋や肛門挙筋などの骨盤周辺の筋肉がリズムよく収縮
  • 尿道にたまった精液が一気に体外へ放出
  • 射精の際には、通常1秒間に4〜5回ほどの律動的な収縮

    (強い快感を伴うことが一般的です。)

射精のコントロール

年齢との関係

若年層(10~20代)は性的興奮が高まりやすく、射精を我慢する経験も浅いため早漏(過敏性や早漏性)が多い傾向があります。
中年層(30~50代)になると、精神的にも落ち着いてくるため射精コントロールが安定してきます。
加齢によって神経伝達や筋力が低下することで、逆に射精までの時間が長くなったり、短くなったりする(衰弱性早漏)ケースもあります。

ストレスやトラウマなどの関係

強いストレスや性的失敗経験によるトラウマがあると、性的興奮のコントロールが難しくなります。
また「早漏だったらどうしよう」といった不安や焦りが過度な緊張感を招き、射精を速めてしまうことがあります。

早漏の主な原因と治療法

早漏の原因は一つではなく、身体的・心理的・加齢的な要因が複雑に絡み合って起こります。
ここでは主にみられる3つの早漏タイプに加え、ED(勃起不全)に関連したタイプについて詳しく見ていきましょう。

タイプ 特徴 主な治療法
心因性早漏 心の問題(ストレス・不安・トラウマなど)が関係して起こる ・認知行動療法(CBT)
・早漏改善運動
・精神的アプローチ など
過敏性早漏 性器の感覚が過敏で、わずかな刺激から射精してしまう ・早漏改善運動
・早漏防止アイテムの使用
・薬物療法 など
衰弱性早漏 加齢により射精コントロールの筋力が低下して起こる ・骨盤底筋トレーニング
・男性ホルモン補充療法
・薬物療法
・補助器具 など
EDに伴う早漏(ED併発型早漏) EDが要因となり、射精コントロールができなくなる ・PDE5阻害薬(バイアグラなど)
・精神的ケア
・SSRIの併用治療
・早漏改善運動 など

心因性早漏

ストレスや不安、過去の失敗経験・トラウマなど心の問題が関係して起こる早漏です。
過去の性行為で早く射精してしまった経験があり、「次の性行為でもすぐに射精してしまうかもしれない」という気持ちが強いストレスとなり、交感神経を活発化させ、興奮状態になりやすく勃起・射精しやすくなってしまいます。

主な原因

  • 運動不足、肥満、睡眠不足や慢性疲労
  • 骨盤底筋の衰え
  • 加齢による男性ホルモンの減少

心因性の主な治療方法

  • 認知行動療法(CBT)

    考え方や自分の行動を見直して、ストレスや不安を和らげる心理療法

  • 早漏改善運動

    スクイーズ法・セマンズ法といった陰茎を直接刺激し、射精コントロール力を高めるトレーニング

  • 精神的アプローチ

    抗不安薬や抗うつ薬(特にSSRI)を用いる、またカウンセリングなどで根本的な心因を改善

  • パートナーとのコミュニケーション改善

    セックスは相手との信頼関係・安心感が重要。悩みなどを素直話し合うことで関係性を良好にし、気持ちから立て直すケースも

過敏性早漏

陰茎や亀頭の感覚が非常に敏感で、わずかな刺激で射精してしまうタイプです。
健康的で勃起力、性欲共に強い10代、20代に多い傾向にあります。
このタイプは刺激に対して体が過剰に反応し、脳での射精コントロールが間に合わないほど急速に興奮が高まります。
自慰を短時間で終える習慣が影響していることも。

主な原因

  • 包茎により刺激に慣れていない
  • 性的経験が少なく、刺激体制が弱い
  • 若年層に見られる身体的過敏

若いうちに早漏のような症状が出ている場合、年齢や性的経験を重ねると共に改善することもあります。

過敏性の主な治療方法

  • 早漏改善運動

    スクイーズ法・セマンズ法といった陰茎を直接刺激し、射精コントロール力を高めるトレーニング

  • 精神的アプローチ

    抗不安薬や抗うつ薬(特にSSRI)を用いる、またカウンセリングなどで根本的な心因を改善

  • パートナーとのコミュニケーション改善

    セックスは相手との信頼関係・安心感が重要。悩みなどを素直話し合うことで関係性を良好にし、気持ちから立て直すケースも

衰弱性早漏

加齢とともに射精をコントロールする筋力が低下し、射精が早くなるタイプです。
元々早漏でない場合でも、年齢を重ねるごとに筋力が低下し早漏になることがあります。この症状は40~50代の中年以降の男性に多く見られます。
年齢を重ねると男性ホルモン(テストステロン)が減り射精管閉鎖筋をはじめとする骨盤底筋群が衰弱し、射精がコントロールできなくなっていきます。

主な原因

  • 運動不足、肥満、睡眠不足や慢性疲労
  • 骨盤底筋の衰え
  • 加齢による男性ホルモンの減少

衰弱性の主な治療方法

  • 骨盤底筋トレーニング(ケーゲル体操)

    射精時に使われる筋肉(PC筋)を鍛えることで、射精コントロールを向上・継続が大切!

  • 男性ホルモン補充療法(必要に応じて)

    加齢によりテストステロン低下が関係している場合はホルモン補充で性機能改善を図る

  • 薬物療法(SSRIなど)

    脳内のセロトニン濃度を高めて射精コントロールを改善

  • ペニスリングなどの補助器具

    射精を遅らせる目的で使用される補助器具(コックリング)。陰茎根本を圧迫し、射精コントロールを行うが長時間の着用はNG

その他・EDに伴う早漏(ED併発型早漏)

ED(勃起不全)とは性的な興奮があっても、男性器が十分に勃起しない、あるいは勃起維持が困難な状態を指します。
挿入中、勃起している間に…と無意識に焦ってしまい、結果的に十分な射精コントロールができず早漏になることがあります。
これは心因性の一形態とも捉えることができますが、EDが原因で射精コントロールが難しくなっているため、このタイプはまず男性機能改善(ED治療)が優先されます。

主な原因

  • 勃起が維持できない不安や焦り
  • 勃起力低下による射精への過剰意識
  • 高血圧、糖尿病、前立腺肥大などの基礎疾患

衰弱性の主な治療方法

  • PDE5阻害薬

    バイアグラ、レビトラ、シアリスなど、男性機能を改善することで焦りやプレッシャーなどを軽減

  • 精神的ケア(焦りの緩和)

    性行為への不安や焦りを和らげることで、射精コントロールを改善

  • SSRIの併用治療

    セロトニンを増やすことで射精までの時間を延ばす

  • 行動療法・トレーニングの併用

    ケーゲル体操やスクイーズ法など射精コントロールを高めるトレーニングは継続が効果的

早漏の各種治療法について

先述にあった治療法はそれぞれ原因に合ったものを選ぶのが好ましいです。 ここでは各治療法について簡単にご紹介します。

早漏改善運動

日常的に行える方法として、日々のトレーニングで骨盤底筋(PC筋)を鍛えたり、実際に陰茎を刺激して行うトレーニングなどがあります。

ケーゲル体操 骨盤底筋を鍛えて射精コントロールを改善
スクイーズ法 射精直前で陰茎を圧迫してコントロール力を高める
セマンズ法 パートナーに陰茎を刺激してもらう、射精直前で刺激を中断するというのを複数回繰り返し
早漏関連記事

早漏が改善される対策運動と治療法

早漏防止薬(薬物療法)

一定の効果が認められている薬剤を用いて、内側から早漏改善へ導く治療法です。

ダポキセチン(SSRI) 一時的に脳内セロトニンを増やし、射精を遅らせる作用があります。
※市販では入手できず、ポゼット(ダポキセチン製剤)などがオンライン診療・通販で利用可能です。
[ポゼットを通販のページはこちら]
局所麻酔スプレー 亀頭の感度を一時的に鈍らせ、早漏を防ぐ補助的な手段です。
外用軟膏 局所麻痺剤とテストステロンという男性ホルモンを配合。
感度を鈍らせること、加齢によるホルモン分泌不足による性機能障害の改善へ。
早漏関連記事

早漏防止薬の種類とメリット・デメリットを比較

ダポキセチンをはじめとする海外製の早漏防止薬は日本国内では未承認のため、ンライン診療か取り扱いしている医療機関での処方、または個人輸入代行を利用して入手するケースオがほとんどです。
早漏防止薬購入のために個人輸入代行を利用しようと検討している方は、リスクや以下のページにて個人輸入・通販についてご覧いただいてご検討をお勧めします。

早漏関連記事

早漏防止薬は通販(楽天・Amazon)や個人輸入代行で購入可能なのか?

生活習慣の見直し

ストレスや疲労、睡眠不足、運動不足などの生活要因も早漏に関与します。バランスの良い食事や適度な運動、ストレスケアも重要な対策です。

  • 規則正しい睡眠と休息をとる
  • 適度な運動(ウォーキングや骨盤底筋トレーニングなど)
  • ストレスマネジメント(趣味、リラクゼーションなど)
  • 栄養バランスのとれた食事

早漏をご自身で診断してみましょう!

「自分は早漏では?」と感じた方は、セルフチェックで簡単に診断ができます。
早漏かどうか簡易的な確認ができますが、疾患の正式な診断は実際に医療機関にて受診をお勧めします。

早漏セルフチェック

今すぐ診断する

早漏についてよくある質問

Questionアイコン

射精まで何分が普通ですか?何分からが早漏ですか?

A

個人差はありますが、膣内挿入後から射精までの時間は海外のデータより5分台が平均値となっています。
1分ほどで射精してしまい、コントロールできない場合は早漏と診断される可能性があります。
ただしご本人やパートナーが苦痛を感じていなければ、必ずしも治療が必要とは限りません。ご不安がありましたらお気軽にご相談ください。

Questionアイコン

パートナーとのセックスが上手く行きません。どうすればいいですか?

A

セックスは身体的な営みだけではなく、パートナーとの信頼関係や心のつながりも大切です。
早漏による悩みが原因で関係が落ち込んでいる場合、まずは率直に話し合ってみることから初めてみてください。
早漏治療法にはトレーニングの他、治療薬などもありますので医療機関に相談してみるのも一つの方法です。

Questionアイコン

自慰中、早く射精してしまいます。これも早漏?

A

はい、自慰中でも射精コントロールができない場合は早漏であると考えられます。
ただし緊張感や状況によって一時的に良くなることもあります。 セマンズ法などの早漏改善運動を継続してみるのも改善方法の一つです。

Questionアイコン

病院に行くのが恥ずかしい、自分で早漏を治せますか?

A

性に関する内容のため恥ずかしさで受診をためらう方は少なくないかと思います。実は早漏は男性の中でよくある悩みの一つです。
近年ではオンライン診療で早漏に関する相談をすることもできるため、プライバシーの面で気にせず受診が可能です。
前川クリニックでも早漏治療に関するオンライン診療を行っております。お気軽にご相談ください。

Questionアイコン

包茎だと早漏になりやすいですか?

A

はい、包茎の方は常に亀頭が皮で覆われているため、刺激に対して敏感になりやすく早漏傾向が強くなることがあります。
特に「過敏性早漏」と呼ばれるタイプは包茎との関連が考えられます。
ただし包茎=早漏という訳ではありません。お悩みの方はまずは専門医にご相談ください。