エクソソームを用いた美容施術では、毛穴の見え方や肌の質感、弾力などの改善が報告されています。 ただし、研究の多くは小規模で、他の美容施術と併用したものも含まれます。
皮脂の減少や肌のターンオーバーの正常化については、臨床的な効果が確立されていません。 また、皮膚への施術で得られた研究結果をエクソソーム点鼻にそのまま当てはめることはできず、さらなる研究が必要です。
毛穴の開きや皮脂によるベタつきなどは、スキンケアを続けていても気になりやすい肌悩みのひとつです。
近年は、細胞から放出される細胞外小胞の一種である「エクソソーム」を利用した美容施術についても研究が進んでいます。
人を対象とした研究では、エクソソームを利用した施術によって、毛穴の見え方や肌の質感などの改善が報告されています。一方で、小規模な研究や他の施術と組み合わせた研究も多く、エクソソーム単独の効果が確立しているわけではありません。
この記事では、毛穴に関する研究を中心に、エクソソームと皮脂、肌のターンオーバーとの関係について解説します。
毛穴が目立つ原因とは?
毛穴が目立つ原因はひとつではありません。
皮脂の分泌量、毛穴の詰まり、角化の状態、紫外線による肌ダメージ、加齢に伴う皮膚の弾力低下など、さまざまな要因が関係しています。
特に皮脂が多い部位では、皮脂や角質が毛穴にたまり、角栓が形成されることで毛穴が目立つことがあります。
また、加齢や紫外線などの影響で皮膚の弾力が低下すると、毛穴の形状や肌表面の質感が変化し、以前より毛穴が目立って見える場合もあります。
このように、毛穴の目立ち方には皮脂や角質の状態だけでなく、皮膚の弾力や肌質も関係しています。
そのため、毛穴へのアプローチを考える際には、複数の要因を踏まえて肌の状態を理解することが大切です。
下記の情報を参考に記述しています。
- PubMed(PMID: 31056753) Clayton, R. W., Göbel, K., Niessen, C. M., Paus, R., van Steensel, M. A. M., & Lim, X. (2019). Homeostasis of the sebaceous gland and mechanisms of acne pathogenesis. The British journal of dermatology, 181(4), 677–690.
さまざまなタイプ別毛穴の目立ち方
毛穴の悩みは、大きく分けると次のように考えられます。
詰まり毛穴
皮脂や古い角質が毛穴にたまり、角栓ができて毛穴が目立っている状態です。
特に皮脂の分泌が多いTゾーンなどに見られやすい毛穴です。

黒ずみ毛穴
毛穴に詰まった皮脂や角栓が酸化したり、メラニンの影響を受けたりすることで、毛穴が黒く見える状態です。

開き毛穴
皮脂の分泌が多いことなどによって毛穴が広がり、目立って見える状態です。
特に鼻や頬などで気になることがあります。

たるみ毛穴
肌のハリや弾力が低下することで、毛穴が縦方向に広がって目立つ状態です。
頬に見られやすく、年齢とともに気になりやすくなります。

原因が異なれば、必要なケアも変わります。
毛穴に効果がある治療とひとまとめにするのではなく、自分の毛穴がどのような原因で目立っているのかを確認することが大切です。
エクソソームとは?
エクソソームは、細胞から放出されるナノサイズの細胞外小胞(Extracellular Vesicles:EVs)の一種です。
タンパク質や脂質、RNAなどさまざまな分子を含み、細胞同士の情報伝達などに関係しています。
この性質から、皮膚の細胞機能や炎症、細胞外マトリックスなどへの作用が研究されており、美容・皮膚科領域でも研究が進んでいます。
2026年に発表されたヒト研究の系統的レビューでは、エクソソームを利用した皮膚の美容施術について19件の研究が検討され、肌の水分量、弾力、しわ、毛穴、色素沈着、全体的な肌の見た目などの短期的な改善との関連が報告されています。
ただし、研究の多くはランダム化比較試験ではなく、研究方法や使用した製品、投与方法などにも違いがあります。
そのため、現時点では有望な研究結果が出てきている一方、さらなる臨床研究が必要な段階と考えるのが適切です。
この記事では一般向けに「エクソソーム」という表現を用いますが、研究ではより広い概念である「細胞外小胞(EV)」として扱われることがあります。
研究対象や製剤によって用語が異なるため、紹介する研究の内容に沿って解釈することが大切です。
エクソソームは毛穴に効果がある?
エクソソームを用いた美容施術については、毛穴の見え方や肌質の改善を報告するヒト研究があります。
2026年に公表されたヒト研究のレビューでは、エクソソームを利用した施術について、毛穴の見え方や肌の弾力、水分量などの改善が報告されています。
毛穴の見え方には、皮脂や角栓だけでなく、皮膚の弾力や肌表面の質感も関係します。
エクソソームについては、皮膚細胞やコラーゲンなどの細胞外マトリックスとの関係も研究されていますが、こうした知見から毛穴を小さくする効果が確立しているとはいえません。
また、レビューに含まれる研究は、使用する製剤や施術方法、評価方法がそれぞれ異なります。
現時点ではエクソソームによる毛穴改善の有効性を判断するには、さらに質の高い臨床研究が必要と言えます。
下記の情報を参考に記述しています。
- PubMed(PMID: 41756341) Flores Rodríguez, J. C., Toledo Avelar, L. E., Yi, K., Merino Arellano, R., López Rodríguez, J. A., & Garza Vargas, M. S. (2026). Efficacy of Exosome-Based Therapies for Skin Rejuvenation: A Systematic Review of Human Studies. Cureus, 18(2), e104182.
マイクロニードリングと組み合わせた毛穴研究
2025年に報告された症例シリーズでは、32~55歳の3人を対象に、エクソソームの外用とマイクロニードリングを組み合わせた施術が、4週間間隔で計3回行われました。
その結果、毛穴の見え方や肌の質感の改善が観察され、22週まで改善が維持されたと報告されています。
ただし、この研究は対象者が3人で、対照群も設けられていません。
マイクロニードリング自体の影響も考えられるため、観察された変化をエクソソーム単独の効果と判断することはできません。また、この結果だけで一般的な美容施術における有効性を判断することは現時点で難しい内容です。
下記の情報を参考に記述しています。
- PubMed(PMID: 40474926) Wan, J., Yoon, S. E., & Yi, K. H. (2025). The Efficacy of Combined Exosome (Exodew) and Microneedling Treatment for Facial Pore Reduction and Skin Texture Improvement. Plastic and reconstructive surgery. Global open, 13(6), e6849.
毛穴の黒ずみは原因を分けて考える
毛穴の黒ずみには、皮脂や角栓などが関係するものと、メラニンや炎症後色素沈着などが関係するものがあります。
見た目が似ていても原因は異なるため、同じ方法で全ての黒ずみに対応できるとは限りません。
エクソソームを用いた美容施術についても、毛穴の見え方に関する研究と、色素沈着に関する研究は分けて考える必要があります。
黒ずみへの影響を検討する際は、どのような肌状態を対象とした研究なのかを確認することが大切です。
エクソソームは皮脂にどのような影響を与える?
皮脂は肌のうるおいを保ち、外部刺激から皮膚を守る役割を担っています。
一方、皮脂の分泌量や角質の状態などによっては、毛穴の詰まりや目立ちやすさに関係することがあります。
そのため、毛穴の悩みを考えるうえでは、皮脂の量だけでなく、肌全体の状態を把握することが重要です。
エクソソームと皮脂腺については、基礎研究が行われています。2024年の研究では、脂肪由来幹細胞のエクソソームが、皮脂腺細胞(sebocyte)の増殖などに影響することが検討されました。
ただこの研究は、主に細胞・動物モデルを用いたもので、一般的な美容目的のエクソソーム施術によって、ヒトの皮脂分泌が減少することを示したものではありません。
エクソソームの由来や性質によって作用が尾となる可能性もあり、皮脂への影響については今後の研究を確認する必要があります。
下記の情報を参考に記述しています。
- PubMed(PMID: 38411945) Zhang, Y., Zouboulis, C. C., & Xiao, Z. (2024). Exosomes from adipose-derived stem cells activate sebocytes through the PI3K/AKT/SREBP-1 pathway to accelerate wound healing. Cell and tissue research, 396(3), 329–342.
肌のターンオーバーに影響する?
ターンオーバーとは、表皮の細胞が生まれ、分化し、最終的に角質として剥がれ落ちるまでの皮膚の更新過程です。肌表面の状態や角質の蓄積などは、毛穴の見え方にも関係します。
エクソソームについては、皮膚細胞の増殖や移動、組織修復、細胞外マトリックス形成などとの関係が研究されています。
ただし、こうした研究で調べられている細胞の働きと、ヒトの肌でターンオーバーが正常化することは同じではありません。
現時点では、エクソソームによってターンオーバーが正常化する、あるいは角質の蓄積が改善するといった効果が、臨床的に確立しているわけではありません。
皮膚細胞の働きや肌環境に影響する可能性が研究されている段階と考えるのが適切です。
エクソソーム点鼻と毛穴・黒ずみの研究は同じ?
毛穴や肌質に関する研究では、エクソソームの皮膚への外用や、マイクロニードリングとの併用が検討されています。
一方、エクソソーム点鼻は投与経路が異なるため、皮膚に直接使用した研究結果を、そのまま点鼻による美容効果に当てはめることはできません。
エクソソームという名称が共通していても、由来や製剤、使用方法が異なれば、研究結果を一括りにはできません。点鼻による毛穴や黒ずみへの直接的な効果についても、別途、適切な臨床研究による確認が必要です。
エクソソームと毛穴に関するよくある質問
エクソソームで毛穴は小さくなりますか?
毛穴の見え方が改善したことを報告するヒト研究はあります。
特に、エクソソームとマイクロニードリングを組み合わせた小規模研究では、毛穴の見え方や肌の質感の改善が報告されています。
ただし、対象者が3人と非常に少なく、エクソソーム単独の効果を調べたものではありません。
そのため、エクソソームだけで毛穴が小さくなると断定することはできませんが、毛穴や肌質への応用について研究が進んでいることは確かです。
エクソソームは皮脂を減らせますか?
現時点では、エクソソームによって皮脂が減ると一律に考えることはできません。
むしろ、エクソソームが皮脂腺細胞に作用することを示した基礎研究もあります。
皮脂を減らすことを目的にエクソソームを使用する場合は、使用する製品や研究データを個別に確認することが重要です。
エクソソームで肌のターンオーバーは整いますか?
エクソソームが皮膚細胞の増殖や修復などに関わる可能性は研究されています。
ただし、ターンオーバーを正常化するという効果が臨床的に確立されているわけではありません。
現時点では、肌の再生や肌質改善につながる可能性が研究されている段階と考えるのが適切です。
エクソソーム点鼻でも毛穴改善が期待できますか?
毛穴改善について報告されている研究の多くは、皮膚への塗布やマイクロニードリングなどを利用したものです。
そのため、これらの研究結果をそのままエクソソーム点鼻に当てはめることはできません。
点鼻タイプについては、投与経路を考慮した研究データを確認することが重要です。
まとめ
エクソソームは、毛穴・肌のキメ・弾力・水分量・色素沈着など、さまざまな肌悩みに対する可能性が研究されている成分です。
近年は人を対象とした研究も増えており、2026年の系統的レビューでは、エクソソームを利用した施術と、毛穴・肌の水分量・弾力・色素沈着などの短期的な改善との関連が報告されています。
また、毛穴については、エクソソームとマイクロニードリングを組み合わせた研究で、毛穴の見え方や肌の質感の改善が報告されています。
色素沈着についても、植物由来エクソソームとマイクロニードリングを組み合わせた研究で改善が報告されており、毛穴だけでなく、肌全体の質感や色ムラへの応用も研究されています。
一方で、現在の研究には小規模なものや、他の美容施術と組み合わせたものが多く、エクソソーム単独の効果や長期的な有効性については、まだ十分なデータがありません。
また、皮膚への塗布などで得られた研究結果を、そのままエクソソーム点鼻の美容効果に当てはめないことも重要です。
エクソソームはまだ研究が進んでいる分野だからこそ、製品の由来や品質、投与方法、そして実際にどのような研究データがあるのかを確認することが大切です。
今後さらに質の高い臨床研究が進めば、エクソソームがどのような毛穴・肌質・色素沈着の悩みに適しているのか、より具体的に分かってくることが期待されています。







