イベルメクチンとは?効果・副作用・安全性を医師監修で徹底解説

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イベルメクチンは寄生虫感染症の治療に用いられる医療用医薬品であり、世界中で広く使用されています。
本記事ではイベルメクチンの効果・副作用・服用方法・注意点を詳しく解説します。

↓クリックして飛べます イベルメクチンの詳細まとめ
適応症 腸管糞線虫症および疥癬の治療(国内)
オンコセルカ症(海外)
作用機序 イベルメクチンは寄生虫の神経・筋肉にあるグルタミン酸作動性Cl⁻チャネルに作用し、麻痺を引き起こして駆除します。
副作用 0.1〜5%未満:そう痒、肝機能異常、BUN上昇など
0.1%未満:悪心、白血球数減少、血尿など
服用禁忌 過敏症の既往歴がある方
注意が必要な方 妊婦、授乳婦、小児、高齢者
持病・感染症をお持ちの方
購入方法 オンライン診療
・対面診療
・個人輸入代行の使用

※偽薬や詐欺のリスクがあるため注意が必要

市販や大手通販サイトでは購入不可

イベルメクチンとは

イベルメクチンとは寄生虫による感染症の治療薬です。
1970年代、日本の大村智博士が発見した放射菌から、アメリカのメルク社との共同開発が行われました。
その功績により2015年には大村智博士はノーベル生理学・医学賞を受賞しています。
適切に使用すれば安全性が高く、現在も世界中で広く用いられている信頼性の高い駆虫薬の一つです。

またイベルメクチンは人に対してだけではなく、獣医領域では犬のフィラリラ症予防にも長年使われてきた薬です。

イベルメクチンの適応症

日本国内では主に腸管糞線虫症および疥癬(角化型疥癬等)の治療に使用されている医療用医薬品です。
どちらも寄生虫による感染症であり、イベルメクチンは寄生虫の神経系に作用して麻痺させ体外へ排出することで効果を発揮します。

イベルメクチンの承認とその背景

イベルメクチンは1981年に動物用医薬品として実用化され、家畜の寄生虫駆除役として広く使用されました。
その後研究が進められ、1990年代初頭には腸管糞線虫症およびオンコセルカ症(河川盲目症)などに対する治療薬として、世界各国で医療用医薬品として承認されていきました。
日本国内では2002年に腸管糞線虫症、2006年に疥癬に対して医薬品としての承認が得られています。
現在もこの寄生虫による感染症に対する治療薬は保険適用下で処方されています。

新型コロナとイベルメクチン

イベルメクチンは新型コロナウイルス感染症への効果が一時的に大きく注目されていました。
しかしながら現時点では治療薬としての有効性は確認されていません。
北里大学などが行った二重盲検ランダム比較試験では、プラセボ群と比べて有意な効果は認められませんでした。

また、国内でも製薬企業による大規模な第三相試験も行われましたが、こちらも明確な効果は確認されず国際的な評価としても「イベルメクチンは新型コロナ治療薬とは見なされていない」というのが現状です。
イベルメクチン本来の適応は寄生虫感染症の治療であり、コロナ治療目的の使用は適応外であり推奨はされていません。 ※自由診療での処方

イベルメクチンの効果効能

具体的症状と効能

腸管糞線虫症(ちょうかんふんせんちゅうしょう)

糞線虫症は土壌を介して伝播する寄生虫疾患の一つです。 特に熱帯および亜熱帯地域、米国南部の農村地域などで多く見られます。

  • 発疹
  • 強い痒み
  • 吐き気
  • 下痢
  • 嘔吐 など

イベルメクチンはこの病気の第一選択薬として使用されます。
1回の投与で効果があることが多く、再感染リスクがある場合は2週間後に再投与される場合があります。

疥癬(かいせん)

疥癬はヒゼンダニが皮膚に寄生、皮膚内で活動することでアレルギー反応が起こり、痒みなどの症状が発生します。
ヒゼンダニは皮膚の表面近くにトンネルを作り卵を産み、糞を排出。 人間の身体はこのダニの唾液・排泄物・死骸・卵などをアレルゲンとして認識し免疫反応を起こします。
なお、感染初期段階では体がまだダニを異物として認識していないため、症状が出るまで2~6週間程かかる場合もあります。

  • 強い痒み(特に夜間)
  • 手指の間、手首、腋の下、陰部、腹部、臀部などに赤い発疹や小さな水疱
  • トンネル状の病変(ダニの通り道)

通常ペルメトリンなどの外用薬が第一選択ですが、十分な効果が得られない場合や重症型疥癬、または免疫力が低下している場合にイベルメクチンを投与することがあります。
ヒゼンダニを駆除することで痒みなどの皮膚症状が改善されます。

オンコセルカ症(河川盲目症)

オンコセルカ症は回旋糸状虫という寄生虫のミクロフィラリア(被鞘幼虫)を持ったブユに繰り返し刺されることで感染し、酷い痒みや皮膚異常、視力障害が発生します。
主に熱帯地域で発生する寄生虫感染症で、日本ではほぼ撲滅しているため

  • 激しい掻痒(かゆみ)
  • 皮膚の変化【皮膚の硬化・色素沈着・皮膚の萎縮や外観を損なう変形】
  • 皮下の小結節
  • 視覚障害【目の炎症・視力が低下し失明に至る場合も】

河川盲目症の治療はイベルメクチンが第一選択薬です。
10~15年にわたる定期的な年1回以上のイベルメクチン投与をWHOは推奨しています。

イベルメクチンの作用機序

イベルメクチンは、主に無脊椎動物(寄生虫)特有のグルタミン酸作動性Cl‾チャンネルに結合し、神経・筋肉の信号伝達を遮断します。
これにより寄生虫の筋肉が過度に弛緩し、麻痺を起こして最終的に死に至ります。
哺乳類(人間)にも類似のチャネルは存在しますが、中枢神経系に限られており、イベルメクチンは血液脳関門を通過しにくいため中枢神経系への影響は限定的です。そのためヒトに対しては選択性が高く、安全域が広いとされています。

イベルメクチンが寄生虫感染症に効果を示す流れ

イベルメクチンの副作用

イベルメクチンは一般的に安全性の高い薬ですが、稀に重篤な副作用が報告されており、医師の管理下での使用が望まれます。
副作用は軽いものから、命に関わる重篤なものもあります。
使用中に体調の変化を感じた場合には軽視せず、早めに当クリニックをはじめとする医療機関へ相談することが大切です。

主な副作用

0.1〜5%未満 0.1%未満
過敏症 そう痒、発疹
肝臓 肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、総ビリルビン値上昇、γ-GTP上昇)
腎臓 BUN上昇
消化器系 悪心、嘔吐
血液 貧血、好酸球数増加 白血球数減少、リンパ球数増加、単球数減少
その他 LDH上昇 血尿

その他、頻度不明で蕁麻疹・下痢・食欲不振・めまい・低血圧などが報告されています。

重大な副作用

  • 中毒性表皮壊死融解症
  • 皮膚粘膜眼症候群
  • 肝機能障害、黄疸
  • 血小板減少
  • 意識障害

イベルメクチンを服用すると稀ではありますが、上記のような重大な副作用があらわれることがあります。
何か異常が見られた際は速やかに服用を中止し医療機関へ受診してください。

イベルメクチン服用禁忌・注意すべき方

禁忌の方

  • 本剤成分に過敏症の既往歴がある方

過去にイベルメクチンへの過敏症の既往歴がある場合はイベルメクチンを服用できません。

注意が必要な方

イベルメクチンは多くの寄生虫感染症に有効な薬ですが、すべての方に安全とは限りません。以下に該当する方は服用前に必ずご相談ください。

  • 妊婦

    治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ投与。動物実験では催奇形性が報告されています。

  • 授乳婦

    ヒト母乳中への移行が報告されています。

  • 小児

    体重15㎏未満の小児は臨床試験の対象外で安全性が確立されていません。

  • 高齢者

    肝・腎・心機能が低下していることが多く、副作用リスクが高くなる傾向があります。

持病・感染症をお持ちの方

対象者 注意点
ロア糸状虫感染の可能性がある方 ごく稀に脳症(意識障害、昏睡など)の報告があります。感染歴がある地域への渡航歴がある方は、事前の検査が推奨されます。
オンコセルカ症の方(河川盲目症) 中枢神経系や筋肉系の重篤な副作用が出ることがあり、慎重な対応が必要です。
HIV・HTLV-1などの免疫低下状態の方 標準的な投与量では効果が不十分な場合があり、長期管理が必要となることがあります。

イベルメクチンのよくある質問

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イベルメクチンを1回飲めば完治しますか?

A

病気の種類や重症度によって異なります。
例えば腸管糞線虫症では1回の服用で効果が期待できますが、疥癬の場合は1~2週間後に再投与が必要になることもあります。
再感染や症状が続いている場合は自己判断で服用を止めたり、続けたりせず再診を受けてください。

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イベルメクチンは新型コロナに効きますか?

A

一時期、新型コロナに対する効果が話題になりましたが、現時点でCOVID-19に対する明確な有効性は科学的に証明されていません。感染症対策で使用する場合はご自身の判断となります。

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動物用とヒト用がありますが違いは何ですか?

A

成分は同じでも用量・純度・添加物・製造基準が大きく異なります。
動物用を人間が使用することは危険ですので絶対に避けてください。
当クリニックで取り扱っているのはヒト用の「ストロメクトール」という先発薬ですのでご安心ください。

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動物用とヒト用がありますが違いは何ですか?

A

成分は同じでも用量・純度・添加物・製造基準が大きく異なります。
動物用を人間が使用することは危険ですので絶対に避けてください。
当クリニックで取り扱っているのはヒト用の「ストロメクトール」という先発薬ですのでご安心ください。